産業カウンセラーとは?資格取得を目指す人の必見情報





 

産業カウンセラーを目指す人は、色々な立場の人がいるでしょう。各々に何を目的に取得するのかを考えることが大切といえます。

資格取得や取得後に活用するためにも、産業カウンセラーとは何か?知ることが第一です。そのために産業カウンセラーの位置付けや仕事内容、取得者の実態を通して、産業カウンセラーとは何か?について紹介します。

産業カウンセラー資格取得の方法を掲載すると共に、取得者がどのようにこの資格を活かしているのか活動状況や仕事・収入の実態について紹介します。

他の資格も同様ですが、資格を取るだけでは産業カウンセラーとして活動できるわけではありません。しかし、心理学やカウンセリング技術を学ぶことで職場や人間関係に役立つ事は多いでしょう。産業カウンセラーとは何か?資格を目指す人のためのお役立ち情報をお届けします。

 

1. 産業カウンセラーとはどのような資格?

『産業カウンセラー』とは、一般社団法人産業カウンセラー協会が認定する資格です。産業カウンセラーとシニア産業カウンセラーの2種類があります。産業カウンセラーとは「働く人達が抱える諸問題を、心理的手法で自ら解決できるように援助する」心理職資格とされています。その活動領域は、①メンタルヘルスへの援助、②人間関係開発への援助、③キャリア開発への援助の3つが挙げられています。

1-1. 産業カウンセラーはどんな仕事をするの?

産業カウンセラーの仕事としては、

  • 就労支援や職業復帰に関ること
  • 働く人のメンタルヘルスへの援助・相談
  • メンタルヘルス対策のプラン作りや運営・教育研修

などに関ることがあります。

心理学の知識を利用して、キャリア開発や職場の精神衛生環境を向上するための様々な業務に関ると言えます。

企業や職場によって求められることも夫々に違うでしょう。既に在職している人が産業カウンセラー資格を仕事に活かす場合と、産業カウンセラーとして派遣されて相談業務に当る場合、または独自に活動する場合では仕事の内容や重点も違うでしょう。

 

1-2. 産業カウンセラーと企業カウンセラーの違い

産業カウンセラーと言うと、企業の健康相談室などで働く人の相談に応じるイメージを持つ人もいるでしょう。それは「企業(内)カウンセラー」といいますが、混同する人も多いようです。

「企業(内)カウンセラー」とは、産業精神保健分野で活動する心理カウンセラーの総称(職業名)で、産業カウンセラーは資格名です。企業(内)カウンセラーとして面談に当るのは、主に企業から委託を受けた産業医(精神科医)や臨床心理士や保健師などです。産業カウンセラー=企業カウンセラーである場合もありますが、かなり実績を積んだ人でしょう。

産業カウンセラーは個人面談だけでなく、就労支援対策や職場のメンタルヘルス対策や教育研修などの幅広い業務に関ることが多くなっています。

 

1-3. 産業カウンセラーと臨床心理士の違い

では、産業カウンセラーと臨床心理士はどう違うのでしょう?

まず資格取得の難しさが違います。臨床心理士は大学院卒業が条件で、高度な心理学の専門知識が必要です。どちらも心理学の手法を用いることは同じですが、臨床心理士は個人の心理的問題を中心に深く扱います。

一方産業カウンセラーは、就労や職場の中で発生する心理的問題を扱います。ですから社会常識や企業組織の知識など、心理学だけでなく幅広い知識が産業カウンセラーには求められます。また個人面談では、心理学の専門知識とカウンセリング技術が求められます。その点において、一般的に臨床心理士の方が知識・技術への信頼性が高いと言えます。

産業カウンセラーでも研鑽を積んだ方は、信頼を得られているのが実態です。

 

2. 産業カウンセラーの資格取得の方法と費用

産業カウンセラー資格は、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する資格です。

産業カウンセラー資格は、学歴条件に関りなく養成講座を受講すると誰でも受験資格が得られます。養成講座は働きながら受講できるような通信制もあります。産業カウンセラー資格の資格取得方法と費用を紹介します。

 

2-1. 産業カウンセラー受験資格

下記のいずれかの条件を満たした人が受験できます。

  1. 協会主催の養成講座(通学/通信)を修了した者。
  2. 大学院において心理学または心理学隣接諸科学・人間科学・人間関係学のいずれかの学部または専攻課程の卒業者であり、指定科目を履修し指定単位取得した者。(受験資格判定の為の申請が必要)

※学士による受験資格申請は2017年度より廃止されますので、今後は上記の2通りになります。

 

2-2. 資格取得費用

学科試験(10,800円)+実技試験(21,600円)+登録料(7,000円)+年会費(7,000円)
合計(46,400円)です。5年毎に更新料(3000円)がかかります。年会費は別途。

 

2-3. 産業カウンセラー養成講座

受験資格の条件にあげられる「産業カウンセラー養成講座」について紹介します。産業カウンセラー資格取得者の約85%は養成講座を修了しています。通学制と通信制があります。

①通学制

  • 内容=講義:36時間/カウンセリング演習:104時間/在宅研修:40時間/DVDによる学習9時間
  • 期間=7ヶ月(4月~11月)昼間コース:約22回。夜間コース:約40回。
  • 受講料=226,800円

②通信制

  • 内容=テキストと添削による在宅学習/カウンセリング演習:通学制と同じ104時間(年間16日)とレポート提出/DVDによる学習9時間
  • 期間=1年間(11月~10月)・受講料=205,000円

 

 

3. 産業カウンセラーの資格を活かして活動するために

産業カウンセラーの資格は在職者が多く受験しているようです。産業カウンセラー資格を目指す方は、資格取得者がどのように資格を活かしているのか?に関心があると思います。日本産業カウンセラー協会が2009年に行った調査をもとに、資格取得者の現状を見てみましょう。

3-1. 資格取得者の現状や活動状態

①資格取得者の就労形態

正社員が49.6%、契約社員が12.3%と、半数は常用雇用者となっています。他に、パート、経営者、主婦、定年退職者などが続きます。

②資格取得後の資格活用・活動状態

回答者全体の中では、

  • 「資格を活用して大いに活動している」(21%)
  • 「まぁ活かして活動している」(39%)
  • 「活用していない」(39%)
  • 他無回答(1%)

となっています。約6割は、資格取得で培ったスキルを活用していることがわかります。その一方で活用していない人も4割います。資格取得前に活用の仕方を考えることが大切なようです。

③資格取得後の状況や気持の変化

気持の変化では、

  • 「日常で言動に留意するようになった」(48%)
  • 「自分に自信がつき、ゆとりができるようになった」(32%)

となっています。約半数が日常のコミュニケーションに活かしているようです。

状況の変化では、

  • 契約雇用が決まった(10%)
  • 職務の転換・拡大ができた(18%)
  • 名刺・履歴書に書けた(22%)
  • 周囲の見る目が変った(11%)

となっています。産業カウンセラーの資格だけで、転職や就職に大きく有利ということはないようですが、従事する職務にはメリットがあるようです。

④資格取得者の勤務先の職種

勤務先の職種で「カウンセラー」と答えた人は、男女共に約15%ほどです。

職種では男女差があり、男性では、

  • 管理職(20%)
  • 事務職(14%)
  • 人事労務職(9%)

となっています。女性では、

  • 一般事務職(19%)
  • 保健看護職(17%)

となっています。

カウンセラー職に就いている人は、全体の15%程度ですが、60%の人はなんらかの場で習得したスキルを活かしているようです。また、カウンセラー職に就いている人の約半数は、産業カウンセラーの他にキャリア・コンサルタントやシニア産業カウンセラー資格を持っています。

産業カウンセラーとして活動するためには、資格取得後のさらなる勉強や実務の研鑽が必要とされるようです。

 

3-2. 産業カウンセラーの仕事・収入

では、産業カウンセラーとして「カウンセラー職」に就いている人の仕事・収入はどうなのでしょう?

カウンセラー職に就いていると言っても、企業・組織の正社員としての勤務か、嘱託などによる勤務か、非常勤か、経営者かによって収入は大きく違います。ここでは、カウンセラー職に就いている人に限定して勤務形態や収入の実態を見てみましょう。

①勤務形態

  • 契約社員(44%)
  • 正社員(22%)
  • 非常勤(20%)
  • パート(7%)
  • 経営者(4%)
  • 以下、派遣等。

②年収

  • 100万円未満(13%)
  • 100~200万円未満(17%)
  • 200~300万円未満(24%)
  • 300~400万円未満(22%)
  • 500万円以上(24%)

となっています。1000万円以上という人も1.4%いますが、カウンセラー職として働く産業カウンセラーの年収は、200~400万円程度が多いようです。

③仕事と就職先

カウンセラー職に就いている人では、ハローワークや就労支援関係など、キャリア開発への援助領域が多いです。次いで職場のメンタルケア相談や教育研修講師などメンタルヘルスケア援助領域です。キャリア開発領域が多く、職場の人間関係開発の領域は少ないようです。

 

4. 産業カウンセラーのまとめ

職場の人間関係に役立てたい人、自分の職務をよりよくしたい人、産業カウンセラーとして相談業務等で活動したい人…産業カウンセラーを目指す人は、いろいろでしょう。どのように活用するか?イメージを描くことは大切です。

産業カウンセラーとは何か?―― 位置付けや活動領域を知った上で、目的を持つと勉強にも張り合いが出ますね。資格を取ってすぐに産業カウンセラーとして活動できる人は少ないですが、実務経験を積んだり上級資格を取ってカウンセラーとして活動している人もいます。

産業カウンセラー資格は、心理カウンセラーへの入口のひとつではあるでしょう。産業カウンセラー資格の勉強をすることは、職業人としての人生を豊かにしてくれるでしょう。