職場や家庭でのストレスの多くは人間関係によるものです。日常生活の中で人と関わっていく以上、良い人間関係を作り上げる力はとても大切であり、また、それをよく保つことは人生や仕事の質を高めることにつながります。
心理学やカウンセリング技術を身に付けることは、良い人間関係を作り出す能力を高めます。ですから、心理カウンセラーを仕事としなくても、心理学を学ぶ意義は十分にあります。「心理学はまったく分からないけど、家庭や職場の人間関係に役立てたい」という方のために、どのようにして心理学を学んでいけば良いかご紹介していきます。
1. 人間関係を作る力はすべての土台になり得る
私たちは、あらゆる場面で人と何かしらのコミュニケーションを通じて相互に影響を与えあっています。それは言葉だけでなく、表情や態度といった言語以外によるものも全て含めて、感情や情報のやりとりをしています。お互いに良い影響を与え合うことができれば人間関係はスムーズに行くのですね。
ところが、実際は悩みやストレスの多くは “人間関係が原因” となっているケースが多くなっています。 心理学を学んで人間関係能力を高めることは、人と接する全ての場面において安定感を増し、あなたの人生の質を高めることにつながります。
つまり、心の健康のためにも 心理学 や カウンセリング技法 を学ぶことはとても有効なのですね。
人間関係がストレスや悩みに関わっている実態
それでは、人間関係がストレスや悩みにどれほど大きく影響を与えているか見て行きましょう。
厚生労働省が仕事に従事している労働者を対象者に行った『平成29年 労働安全衛生調査(実態調査)結果』での “仕事に就いている20歳以上の男女を対象とした調査” によると、約60%の労働者が強いストレスを抱えている実態が分かっています。
また、一般社団法人産業カウンセラー協会が開設した「第8回働く人の電話相談室」集計結果から、悩み・ストレスの原因を見てみると、寄せられた1,025件のうち61%にあたる630件が女性からの相談であり、職場で悩む女性は男性の2倍以上という結果となっています。
最も多かったのが 『職場の悩み』 で男女合計:344件(35%)となっており、さらにそのうち 『人間関係の悩み』 が136件と最も多く4割を占めています。
心理学やカウンセリングを学ぶことで得られるメリットは多い
以上の様に、人間関係を原因としてストレスを強く感じている方は本当に多く居るのが現状です。
「相手の気持ちが分かれば人間関係が上手く行くかも・・・」
このように思うから心理学を学んでみたい!という人が多いのではないでしょうか?
でも、残念ながら 心理学を学んだとしても相手の心を読み取ることは出来ません。なぜならば、相手の心も自分の心も常にゆれ動いているものですし、体調や環境に大きく影響されるからです。ですから、
『心理学を学ぶ=人間関係が良くなる』
という結果にはならないのですね。
では、心理学やカウンセリング技法を学んでどの様なメリットが得られるのでしょうか?
心理学を通じて、人の心のあり様や研究蓄積・事例などを学ぶことによって、”人”に対する理解は少なからず深まります。そして、 傾聴・共感・受容などのカウンセリング技法を学ぶことによって、より良いコミュニケーションが生まれる事は間違いありません。
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心理学やカウンセリング技法を学ぶことで非常に多くのメリットがあります。たとえば、
- 自分への理解・他者への理解が深まる
- コミュニケーションが取りやすくなる
- 観察力や洞察力が磨かれる
上記の様なメリットが挙げられます。
つまり、心理学やカウンセリング技法を学ぶことで、人間関係を良好に保つことが上手になり、対人関係から生まれるストレスを大きく軽減することが可能になりますので、”人生の幸福度が上がる”という大きなメリットにつながるのです。
ですから、特に心理カウンセラーなどの心理職を目指していない方でも、『積極的に心理学は学んで欲しい』と思っています。
また、うつ病や不安障害(パニック障害・社会性不安障害など)に疾患された方は、人間関係を上手くコントロールできなかった傾向がありますので、心理学を学ぶことで症状の改善も期待できるかもしれません。
カウンセリング技法の『傾聴』は人間関係を構築する基礎
ここでひとつ例を挙げてお話をしたいと思います。
これまで解説してきたように、心理学やカウンセリング技法を学ぶと『コミュニケーション能力を上げ人間関係を円滑にする』効果が期待できます。
そのカウンセリング技法の中に『傾聴(けいちょう)』という技術があるのですが、この傾聴技術を活かすことで人間関係を良好にする基礎を作り上げることができます。
傾聴とは、簡単に言い表すのであれば、聞こえるものの内容を理解しようと思って進んでよく聞こうとする事を指します。
皆さんも感じていると思いますが、相手とのコミュニケーションは感情や言葉のキャッチボールです。自分が受け止め、相手に受け止められなければキャッチボールは成立しません。
実は、人間関係が上手く行かないという人の多くは、この会話のキャッチボールが上手くできていないことが多いという傾向があります。このボールを上手に受け止めるための技術が『傾聴』なのですね。しっかりと受け止めることによって、投げ返すボールを相手が受取りやすくなります。
傾聴はカウンセリングの最も基本となるものであり、傾聴の基本を学ぶと人間関係がスムーズになることが期待でき、直ぐに日常生活に活かせるという点でも学ぶ意義はともて大きいのです。
ここでは傾聴について深く触れませんので、興味のある方は下記の記事を読んでみてください。
2.心理学の概要を体系的に学びたい方は通信講座がおすすめ
人間関係を築き上げる能力の土台となる心理学ですが、全くの初心者であれば、『心理学ってなに?』というところからの出発になりますよね。なんか怪しい感じもするし、そもそも何をどう学んで行けば良いのか分からないと思います。
近年、心理学は注目を集めており、人間関係などに活かすために個人レベルでも人気がありますが、人の心理の根底を理解し、ビジネスに活かすという動きも活発化されています。
色々な書籍なども出ていますが、心理学を体系的に学んで、そのまま実生活に活かすという点では、通信教育の心理学講座などが非常におすすめです。
通信講座では、入門という意味で”心理学”や”カウンセリング理論”の概要を体系的に学ぶことができます。このまま実生活に活かすことも可能ですが、これらの概要を理解した上で、自分にとって必要なところや興味のある分野を深めていくとより良いスキルアップになることでしょう。
比較的安いものでも2万円~3万円が必要になりますが、数ヶ月~半年の学習でそれぞれの民間団体が発行するカウンセラーとしての資格も取得できますので、肩書として活かしたり、専門分野に特化したカウンセラーとして独立開業する道も開けます。
資料請求で各講座の内容やどの様なことができるか見る事が可能ですので、一度、確認することをおすすめします。