【1】
認定カウンセラーとは
認定カウンセラーは日本カウンセリング学会が認定する資格です。
日本カウンセリング学会について
1967年に設立されたカウンセリング全領域にわたる日本で唯一の学会です。カウンセリングを通して国民の健康・教育・福祉の向上に貢献し、カウンセラーの資質向上を目指して、1986年から 『認定カウンセラー』 の認定業務を行っています。
認定カウンセラーは、日本のカウンセリング関係の資格の中では非常に歴史があります。学会の活動が盛んで、カウンセリング研究や交流が盛んに行われています。認定カウンセラーの資格を保有することは、カウンセリング研究・実践の研鑽の証(けんさんのあかし)と言えますので、心理カウンセラーとしての信頼度を大きく上げることが可能になるでしょう。
なお、『認定カウンセラー』は日本カウンセリング学会が認定する資格で、『認定心理カウンセラー』は、NPO法人日本カウンセリング普及協会が認定している資格になりますので、ご注意ください。
【2】
認定カウンセラーになるには?
認定カウンセラーになるためには資格を申請するための条件をクリアする必要があります。方法としては、『試験方式』と『推薦方式』がありますので、これら2つの方法について解説していきます。
資格取得条件のポイントとしては、
- 日本カウンセリング学会に所属している
- カウンセラーとして実績がある。または、カウンセリングの研究を行っている。
この2つの条件がベースとなります。そもそも、日本カウンセリング学会に入会するには、しっかりと学校教育を受け、カウンセリングに関する研究や実践を行っている前提が必要です。
認定カウンセラーの資格取得方法
日本カウンセリング学会に会員として2年以上在籍していること。あるいはカウンセリング関係の修士課程在学者ならびに修了者の場合は、学会に1年以上在籍していること。
認定カウンセラーの試験を受ける条件は下記の通りとなっており、推薦方式よりはハードルが低くなっています。
推薦方式|認定カウンセラーの資格取得方法
- 日本カウンセリング学会の会員で、大学・短大の専任教員として5年以上にわたりカウンセリング関係の授業を担当し、かつカウンセリング実践に関る業績が顕著であること。
- 日本カウンセリング学会の会員で、大学・短大以外の諸機関において5年以上にわたりカウンセラー養成やカウンセリング実践に携わっており、業績が顕著であること。
- 日本カウンセリング学会の会員で、相談機関のカウンセラーとして、週4日以上、5年間以上勤務していること。(教育センター相談員、児童相談所心理判定員、学生相談室カウンセラー、カウンセリングセンター相談員など)
【3】
認定カウンセラー養成カリキュラムによる研修会
認定カウンセラーになるためには、日本カウンセリング学会が各地で開催している『認定カウンセラー養成カリキュラムによるカウンセリング研修会』や『学部で取得した単位』が必要(心理系大学院在籍・修了者は学校の習得単位でも可能)になってきます。
教育委員会や民間機関などのカウンセリング研修は資格認定委員会で研修内容や講師などを検討した上で、適切な場合は振替が認められます。
研修会は各地で2日間にわたり全15時間行われ、幾つかの研修の中から希望の研修コースを選択することが可能です。尚、研修への参加費は20,000円程度となっています。
認定カウンセラー養成カリキュラムで必要な研修単位の詳細
下記のA~Eの領域の研修単位が必要です。
一般会員の場合は、養成カリキュラムによる研修会で合計210時間(14単位)以上が必要です。心理学系大学院(修士課程)在籍者・修了者は、学校の単位合計240時間(14単位)以上必要です。講義内容が各領域に適切と判断された場合は単位が認められますが、シラバスによる確認が必要です。
(A) カウンセリング心理学(60時間4単位以上)
- カウンセリングの理論と実際
- 来談者中心カウンセリング
- 認知・行動カウンセリング
- 精神分析的カウンセリング
は必修。その他のカウンセリングや療法については選択が可能です。
(B) カウンセリング・アセスメント(30時間2単位以上)
- 心理アセスメント概論
- 心理検査の理論と実際
は必修。
- 心理統計の基礎
- 発達障害アセスメント
- 精神医学・心身医学アセスメント
は選択。
(C) カウンセリング演習(60時間4単位以上)
- カウンセリング演習
- グループ体験
は必修。事例研究。
(D) カウンセリング実習(45時間3単位以上)
カウンセリング十種とは、カウンセリング体験やグループ体験などの実際の場面でカウンセラーやファシリテーターとして活動した体験。
- スーパービジョン
- グループ・スーパービジョン
- カウンセリング実習
は必修。
日本カウンセリング学会が定めるスーパーバイザーからスーパービジョンを3回以上受けること。事例の概要とスーパーバイザーの意見書を添えて申請時に提出する。
(E) カウンセリング諸領域(15時間1単位以上)
- 学校カウンセリング
- 生涯発達カウンセリング
- 産業カウンセリング
- 医療・看護カウンセリング
- 保健・福祉カウンセリング
- コミュニティ・カウンセリング
各分野に関するカウンセリングの理論や技法に関するもの。
【4】
認定カウンセラーの資格審査と費用
試験方式について
書類審査・筆記試験・技能試験(口述試験)を行います。なお「認定カウンセラー」資格認定大学院修了予定者は、筆記試験・技能試験を免除され、書類審査と面接試験を行います。試験は年に1回実施されます。
推薦方式について
スーパーバイザーからの推薦に基づき、原則的に書類審査・面接審査を行います。試験は2年に1回実施されます。
認定カウンセラーの資格取得に必要な費用について
資格審査料 | 20,000円 |
認定料 | 30,000円 |
一般会員の場合は、学会の研修会参加による単位取得が必要ですので、研修会費用が別途かかります。2日間の研修会への参加費は1回につき20,000円程度ですが、それに交通費や宿泊費用もかかります。
1回の研修会で取得できるのは15時間1単位ですので、14回の研修に参加する必要があります。資格審査料や認定料の他に、研修会参加に関る費用が40万円~50万円程度かかります。
【5】
認定カウンセラーに関するまとめ
認定カウンセラーの資格を取得するためには、日本カウンセリング学会への所属や一般試験、スーパーバイザーからの推薦が必要だという事をお伝えしてきました。また、一般会員の方が認定カウンセラーの受験資格を得るためには、養成カリキュラムによる研修会を受講して単位取得が必要になるなど、結構ハードルが高くなっています。
認定カウンセラーの資格を目指すかどうかは別として、日本カウンセリング学会の研修会やシンポジウムはカウンセリングに関る者として興味深い内容のものが沢山あります。参加するだけでも非常に勉強になりますのでオススメです。
認定カウンセラーになるメリット
これについては冒頭で少し触れたのみになりますが、認定カウンセラーの資格を取得したらかと言って、例えば、特別な就職先を紹介してもらえたり、カウンセラーとして独立開業した時に有利に働くといった事はありません。
関連記事 心理カウンセラーとして独立開業するために必要な資格と知識
まず、認定カウンセラーの資格を取得したからといって、その資格に見合う職に就けるという保障がないことはお断りしておきたいと思います。認定カウンセラーの資格は、あくまでもカウンセラーとしての資質の向上を図ったと認定された人に与えられるものだからです。
引用 : 日本カウンセリング学会
大切なことは、認定カウンセラーの資格取得に向けた過程であったり、取得できた事への自信やカウンセリングの専門家としての誇りではないでしょうか。
都道府県や市町村の教育委員会が派遣しているスクールカウンセラーの中には、すでに認定カウンセラーの資格を有する人がいます。今後は、認定カウンセラーの資格が社会的にますます評価・認知され、認定カウンセラーの資格が活かせる職域は増すものと期待しています。
引用 : 日本カウンセリング学会
心理カウンセラーの国家資格としては公認心理師があり、有資格者が出てくるのは2020年とされていますが、心理カウンセラーの信頼性を証明する資格としては、まだまだ臨床心理士が有効な状況です。
しかし、認定カウンセラーの認知度も少しずつ上がってきており、学会(日本カウンセリング学会)が認定する資格ですから、社会的な効力が、この先、期待できるかもしれません。
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心理学やカウンセリング技法を学ぶことは、自分自身やまわりの人への理解が深まり、 人間関係能力 や コミュニケーション能力 を向上させることが出来ます。その結果、人間関係を良好に保つことが上手になり、対人関係から生まれるストレスを大きく軽減すること が可能になりますので、人生の幸福度が上がるという大きなメリットがあります。
もちろん、心理カウンセラー資格を取得して 相談業務 などの仕事をしたり、 独立開業 して自分で人の役に立つ仕事をしていくことも可能です。
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