脳の活動を解明する生理心理学とは何なのか?

生理心理学は、人間の生理的な(※からだの機能や組織に関すること)反応を 意図的に操作することで心理的な要因を追及して行こうとする学問 です。

生理学的な方法によって、実証的・客観的に人の心の動きを研究、解明しようとするのが生理心理学となります。

それでは、具体的にどのようにアプローチしていくのか詳しい内容についてご紹介します。

 

1. 生理心理学とはどんな心理学なの?

生理的な反応を操作することで人の心を探っていくのが生理心理学ですが、この分野では 脳の活動 を主に扱っていきます。

それは人の心は脳に存在しているからと考えるからなのですが、脳を扱うということは、皆さんが想像する通り、非常に難しいことです。

脳という非常にデリケートな部分を扱う心理学で、技術的な問題もあることから生理心理学が発展したのは最近になってからです。

1-1. 生理心理学のアプローチの仕方

生理心理学の研究のアプローチにはいくつかの方法がありますが、大きく2つに分けることができます。

  • 自律神経系や中枢神経系の活動を測定する
  • 脳に関しての機能や働きを測定する

人の心や精神状態は、脳や神経と密接な関係があります。

脳や神経は人の精神状態からの影響を受けて反応しますが、これは同時に脳や神経の反応が人の心や精神状態にも影響を与えているとも言えます。

心と脳の相互関係について

人の心理状態は 知覚・感情・行動・認知 で示されます。例えば人間には、目で物を見たり耳で音を聞いたりという知覚がありますね。このように五感で知覚されたものは最終的に脳に使えられ判断・評価される認知へとつながります。これらの工程は全て脳で行われているのです。

例えば知覚された経験が良い出来事であると脳で判断されればポジティブな感情が生まれ、反対に悪い出来事であると判断されればネガティブな感情が生まれます。

それと同時に、多くの感情は神経伝達の分泌でコントロールされているのも事実です。

また歩いたり腕を伸ばして何かを取るといった動作や行動などは、まずは脳からの指令が出てそれが神経を通じて身体の各部位に伝わることで行われています。

または嘘をついたときには平然を装いながらも、手にじっとりと汗をかいたり脈拍数が急に早くなったりするでしょう。

これも心と脳、そして身体の密接な関わりを示すものです。

このように心理状態を示す知覚や感情、行動の多くは脳と神経が密接に関わっており、それを研究する生理心理学はさまざまな分野に影響を及ぼします。

嘘を見破るための有名な機械、ウソ発見器も生理心理学の研究を元にして開発されたものです。

研究方法について

生理心理学では、人の心理状態を客観的に実証的に明らかにするために心拍数や呼吸などを測定して自律神経の反応を見ます。

技術の進歩によって人の脳や中枢神経の活動を直に測定できる脳波や誘発電位、局所電流量を測定する方法も出てきており、より詳しい研究が進められています。

破壊法や刺激法について

生理心理学にはさまざまな研究方法があるのですが、当初は破壊法や刺激法と呼ばれる危険な方法が行われていました。

その昔には脳を損傷させたり、あるいは薬物を投与して、一時的に脳の機能を停止させるという破壊法と言われる方法が用いられていました。

これは脳の場所ごとに、異なる機能があるのではないかと思われていたためです。

実際に動物を使って損傷したり、機能停止になった脳がどのようになるのかが研究されていました。

刺激法は脳のある部位に電気刺激などを与えたり薬物を投与するなどして、脳の機能がどのような状態になるのかを調べるものでこちらも大きな問題のある方法です。

破壊法も刺激法もどちらも、生体に直接的にアプローチする危険を伴う方法です。

物理的に生体をコントロールすることで、脳の機能とそれに伴う精神構造の法則性を解明しようとしたのです。

非常に危険で大きな問題がある方法ですから、もちろんこのようなアプローチの仕方は今の心理学者では行うことはできません。

しかし反面とても直接的で分かりやすいアプローチの仕方であるとも言えます。

生理心理学の発展

生体をいじくることなく安全に、生体の電気活動を観測できる技術が発展したことにより生理心理学の研究も進められるようになります。

しかし、初めの頃にはニューロンに極小の電極を差し込み、電気活動を観察するという物理的な方法です。

何かしらのアクションを起こし、電気活動がどこで活性化するのかを見ていくという方法です。そして特定のアクションと、ニューロンを差し込んだ部位との関係性を探っていきます。

ただしこの方法も危険を伴う難しいものなので心理学者は行うことができず、医師免許のある人しかできませんでした。

身体に危険が及ばない脳波測定法が出てきたことによって、人間を対象にした生理心理学が発展してきました。

外部から人間の脳の電気信号を間接的に測定する脳波測定法は、心理学者でも行うことができます。

しかしこの脳波測定法だと限られた電気信号しか測定できないので、情報量がそこまで多く得られないというデメリットもあります。

脳波測定法のように生体に外傷を加えることなく電気信号を測定できる方法を非侵襲的であると言います。

非侵襲的な研究方法の確立により、動物ではなく人間を対象とした研究が可能になり生理心理学も飛躍的に発展してきたのです。

2. 生理心理学が目指すところ

精神反応か生理反応どちらかを意図的に操作することでもう一方の反応を観測するのが生理心理学です。

生理心理学は、生理学的な反応を見ながら心理を考察していく心理学とも言えます。

人の身体と心のつながりを正しく客観的に理解するために数値化し、誰もが自分が今どんな状態であるのかを把握できることを目指すのが生理心理学です。

身体の状態や精神状態を数値化して可視化することは、さまざまな身体や心の病気の診断や治療、そして予防に役立てることができます。

3. まとめ

生理心理学とは、身体と心のつながりを知る上でとても興味深い学問です。

脳の活動と身体、心には深いつながりがありそれを生理心理学で解明することで、さまざまな病気の治療や予防が可能になります。

 

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