悩む人の力になりたい!電話相談員として活動するためには?

 

心理カウンセラーは直接対面での相談だけでなく、電話やメールを使って相談に乗ることも多くなっています。

電話相談というサービス自体は相談料が有料のものと無料のものがあるように。相談員の報酬も無報酬もボランティアと有給のものがあります。無報酬でも報酬有りでも、心の相談に対応するには一定の基準が求められるようです。ボランティアの電話相談で最も有名なのが「いのちの電話」でしょう。

電話相談員として活動することは心理カウンセラーとしての力をつける良い機会となります。ここでは、電話相談員について「いのちの電話」相談を中心に活動やなり方を紹介します。

 

1. 電話相談員になるには資格が必要?

電話相談には大きく分けて、自治体など行政機関が設けているものと、民間が設けているものがあります。

①行政機関の相談員は資格が必要

行政機関の相談窓口の相談員として活動するためには、ほとんどが資格と実務経験が必要です。生活相談員などの福祉分野では、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格が必要でしょう。発達相談など教育分野では、臨床福祉士の資格が必要でしょう。就職や職業相談では、産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの資格が求められるでしょう。

②民間団体の相談員は独自基準

民間団体等が設けている相談窓口は本当にさまざまです。

学会や研究団体等は、啓蒙・普及の一環として相談窓口を設けている団体もあります。それらの相談員は学会や研究組織の会員であって各々の認定資格を持っていることが条件のようです。

その他の民間団体(非営利の支援団体や、営利の民間電話相談など)は、資格は問わず経験と実力次第というところや独自の基準を設けている所などさまざまです。

③「いのちの電話」相談員は養成講座

いのちの電話相談員は資格・学歴・経験は不要ですが、1年~1年半の養成講座(有料)を修了して認定されます(後述)。養成講座で実技演習も行い、認定されると電話相談員として活動することになります。他の通信講座などでは実践経験を積む機会が少ないのが現状です。

ボランティアですが心理カウンセラーとして力を蓄える場として、いのちの電話相談員は実践力がつくひとつの方法でしょう。

 

2. 「いのちの電話」相談とは?

次に『いのちの電話相談』について、概要や相談員の活動、相談員になる方法と費用を紹介しましょう。

①「いのちの電話」とは?

「いのちの電話」とは、元々はイギリスの電話相談から始まり、日本では1971年に東京で初めて開設されました。現在では全国に49のセンターがあり、20代~60代の7000人ほどの相談員が活動しています。

人生の困難に直面して精神的な危機にさらされた人が「誰かに話しを聞いてほしい」、そんな時に「電話」という手段で対話するのが「いのちの電話」相談員です。若い世代への対応として、東京では2006年からインターネット相談も始めています。

いのちの電話センターは社会福祉法人やNPO法人の形で運営されており、家賃・光熱費・事務費などの活動費は寄付金や助成金等で賄われています。いのちの電話相談員は、無報酬のボランティア活動です。

「いのちの電話」というと、自殺防止というイメージがあります。実際は自殺傾向の相談だけでなく、他のさまざまな問題による相談が増えています。2014年の場合、相談受信件数は756,637件ですが、そのうち自殺傾向件数は82,945件で全体の約11%です。

②『いのちの電話』相談員の活動

年中無休で受付ており、全国49のいのちの電話センターのうち24時間体制のセンターが24箇所あります。

無報酬のボランティアで”交通費”も自費です。原則として月2回以上の電話相談を担当します。平均月3~4回程度のようです。働きながらボランティア活動をする人もいるようです。24時間体制のセンターは、深夜時間帯を交代で年2回以上担当するようです。1回の活動時間は、3~4時間程度。1通話は大体30分程度で、1時間以上になることもあるようです。相談員の方からは電話を切らないのが原則なので、1回の通話が長くなるのでしょう。センターによっては、対面相談・インターネット相談・自死遺族支援などの研修コースを設けている所もあります。

毎月、継続的な研修があります。その他にチャリティイベントなど各地の主催事業があり、それらの運営実施のボランティア活動もします。最近は高齢化や経済状況などの変化で、相談員としてボランティア活動する人が減少傾向にあり、電話がつながりにくい状態があるようです。

③『いのちの電話』相談員になるには?なり方と費用

各センターの電話相談員養成講座を受講し、8割以上参加、及び宿泊研修に参加すること。修了後の面接によって適性を認められると認定されます。各センターによって、応募可能年齢や費用、養成講座の期間・開始時期などの詳細は各々に違います。応募の流れはおよそ以下のようになっています。

  1. 養成講座募集要項を取り寄せる
  2. 受講申込(申込書類・写真・動機・レポート)
  3. 申込事務手数料(2000円程度)
  4. 面接
  5. 受講通知・ボランティアカード送付
  6. 受講料支払い
  7. 開講(前期・後期)
  8. 個別面接⇒認定

④いのちの電話相談員の募集要項例

各センターによって内容や費用は違いますが、ここでは首都圏の一例を紹介しましょう。

応募資格

  • 応募可能年齢=23歳~70歳未満(センターによっては違います)。資格・経験・学歴は不問
  • 養成講座(週1回2時間および宿泊研修)に参加出来る人。
  • 電話相談員としてボランティアで無料奉仕できる人(交通費も自己負担)
  • 24時間年中無休の電話相談において、原則として月2回の担当ができる人。

応募書類

  • 所定の申込書と写真
  • 募動機作文(800字程度)自筆/生い立ち(自己形成)についてのレポート:3200字程度(PC可)

選考

  • 説明会=土曜日の2時間
  • グループ面接=土日どちらかの10時~15時
  • 応募書類と選考を経て、養成講座の受講者を決定。

養成講座

期間 : 4月~翌年3月(※センターによっては10月開講~1年半の所もあります。)

前期Ⅰ(4月~5月)
  • オリエンテーションと講義
  • 小グループによる体験学習=自己理解・他者理解・相互援助関係など
  • 2時間×5回(火・木夜コース/土AMコース)と、宿泊研修(2泊3日)
前期Ⅱ(6月~9月)
  • 講義=自分を知る
  • 小グループによる体験学習=電話相談に必要な傾聴や援助的応答のロールプレイ
  • 週1回2時間×11回(平日夜)
後期(10月~2月)
  • 基礎講義(2時間×10回)平日夜【主な内容】メンタルヘルス入門/うつ病の症状と治療/性とエイズの基礎知識/いのちの電話相談論/危機介入/青年期の心理的課題/心的外傷後の心のケア/成人期・老年期の心理的課題と対応/電話相談の実際/身近な法律・福祉の基礎知識
  • 電話インターン研修
    ・スーパービジョン研修(月1~2回、2時間×4回以上)
    ・小グループによる研修(月1回、2時間×5回)平日夜
  • 宿泊研修(1泊2日)前期および後期の終了時に、電話相談員ボランティアとしての適性が検討されます。

費用

  • 申込時、事務手数料=2000円
  • 養成講座受講料=全部で7万円程度+宿泊研修費用
  • 前期Ⅰ=30,000円(宿泊研修費用別途)
  • 前期Ⅱ=20,000円
  • 後期=20,000円(宿泊研修費用別途)

※養成講座の費用は各センターにより異なります。詳細は各センターでご確認ください。全国いのちの電話

 

3. いのちの電話相談員以外で電話相談員になるためには?

行政機関で相談員になるには、社会福祉士・精神保健福祉士・臨床福祉士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタントの資格が求められます。これにつきましては、本記事の「1. 電話相談員になるには資格が必要?」を参照してください。

他の民間団体が開設している有料の電話相談やNPOのボランティアでも相談員を募集している所があります。内容は在宅での電話相談やメール相談が主です。

運営者によって条件やシステムもさまざまであり、中には色々な研修費用などを求める所もあるようなので、運営団体など個別に確認するのが大切でしょう。やはり報酬条件の良い所は、それなりの知識やカウンセリング経験が必要のようです。

ここでは、いのちの電話以外のボランティアで電話相談員募集の一例を紹介していきます。

① NPO法人東京メンタルヘルス・スクエアの場合

電話相談員の募集要項
  • 週に1回(12時~17時/19時~20時30分)、事務所(東京豊島区)で電話相談員としての活動ができる人。
  • 各種カウンセラー学校や養成講座の資格を有し、20時間以上のカウンセラーとしての対面傾聴の実績(訓練含む)を有する人。
  • 電話相談だけでなく、運営活動に参加し一緒に活動を盛り上げてくれる人。
  • ボランティアで活動してくれる人(活動費・交通費自費)

スクエア・カウンセラーの募集

スクエア・カウンセラーとして、「心のほっとらいん(電話)」、「お話パートナー(対面)」の相談を担当します。ボランティアです。2月頃(於:東京豊島区)説明回が行われ、採用試験は6月と12月に行われています。

スクエア・カウンセラー採用試験

応募フォームよりエントリーを行います。エントリー内容が選考基礎条件を満たしている方が採用面接試験に進みます。

①選考基礎条件
  1. 各種カウンセラー学校や養成講座で認定資格を所有している方(通信講座も含む具体的な学校・講座名を記入)
  2. カウンセリング学習の理論学習を受け、受容・共感・自己一致を理解している方(通信講座も含む具体的な学校・講座名を記入)
  3. 訓練を含めて20時間以上の対面経験のある方(具体的な訓練を含む傾聴経験と時間数を記入)
②採用面接試験(6月と12月)

試験は、30分の傾聴カウンセリング実技を含む1時間。履歴書・経歴書とカウンセリングに関するレポートを提出。

スクエア・カウンセラーの登録

採用者向け説明会に参加し、登録手続きと業務委託契約を行い、登録後所定の勉強会(一部有料)を受講して、カウンセラーとして活動します。登録手数料(10,000円:2年間)

→ NPO法人東京メンタルヘルス・スクエア

傾聴トレーニング講座

NPO法人東京メンタルヘルス・スクエアでは、通信講座などのカウンセラー資格は保有しているけれど、対面傾聴の経験が少なく、いきなり採用試験を受ける自信がないという人向けに、トレーニング講座を設けています。全10回(20時間)で費用は15,000円です。

受講対象者は下記の条件を満たす方です。

icon-arrow-circle-right NPO法人東京メンタルヘルス・スクエアのカウンセラーとなり、悩みを持つ人の役に立ちたいと思っている方。

 傾聴体験が20時間に満たない、もしくはブランク等で自信がない方で、経験の蓄積により自己の技能を向上させたいという意欲を「お持ちの方。

 スクエア・カウンセラー選考基準の内、下記の3点を満たしている方。

  • 各種カウンセラー学校や養成講座で認定資格を所有している方(通信講座も含む)
  • カウンセリング学習の理論学習を受け、受容・共感・自己一致を理解している方。
  • 訓練を含めて20時間以上の対面経験のある方。

※受講採用試験に合格することを保証するものではありません。

報酬ありで相談員を募集している例

報酬ありで、相談員を募集しているところもあり、例を挙げましょう。一定の基準があるようです。詳細は下記サイトをご参照ください。

エキサイト「お悩み相談室」:https://counselor.excite.co.jp/help/koubo/

みんなの電話相談「テレポ」:http://telepo.jp/top/bosyu2.html

 

4. 電話相談員のまとめ

電話相談(メール相談)は、大きく分けると、相談者が有料で相談するものと、無料で相談するものがあります。無料相談の場合は、行政サービスの一環として公共機関で行っているものと、民間団体がボランティアで行っているものがあります。

相談員の報酬が有りの場合と、無報酬のボランティアの場合があります。

行政機関が行っている無料相談は、臨床心理士や精神保健福祉士、産業カウンセラーなどの資格と経験が求められます。その代わり、相談員としての報酬は比較的条件のよいところが多いようです。民間団体がボランティアの相談員は、特に資格が必要ない所もありますが、各々の団体により一定の基準を設けているようです。

いのちの電話は、資格・学歴・経験不問で有料養成研修を受けて適性が認められると相談員として活動できます。ボランティアの相談員を経験して力をつけて、他の民間団体の有給相談員として活動する方法もあります。

電話相談は、運営団体も内容も費用も実にさまざまです。相談員として応募する場合は、充分に確認することが大切でしょう。

 

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