傾聴力とは?「聞く」と「聴く」の違いを理解して心理カウンセリングに活そう!

「話を聞く」と言うと、受身のように思います。日常会話では “話す人がいて⇒聞く人が受けて” というように主役の話し手が交代するイメージですね。

傾聴は受身の聞き方ではありません。英語では「アクティブ・リスニング」と言う様に、積極的に聴くという意味です。

『傾聴』という文字の”傾ける”は、相手に心を傾けるということであり、心理カウンセリングの最も土台となるものです。

それでは、「聞く」と「聴く」は一体何が違うのでしょうか?なぜ、傾聴がカウンセリングの舞台でそれほど重要なのでしょうか? 「聞く」と「聴く」の違いを通じて、傾聴とは何か?その目的と効果を解説していきます。

 

【1】
人は話を聞くよりも ”話を聞いてもらいたい生き物”

話を聞く・話をする、というのは私たちにとって空気のように当り前のことですね。では、『話を聞く・話をする』というのは私たちにとってどの様な意味があるのでしょう?

1-1. 話を聞いてもらいたいのは、承認欲求によるもの

人には 『承認欲求』 という本能があります。人間は社会的生物ですから、他者から自分の存在を認められることが必要です。承認欲求が満たされないと、悪いことをしてでも目立って認めてもらおうと歪んだ行動に出る こともあります。

最近では、「世間の注目を集めたかった・・・」 というようなタイプの事件が多いのも、この承認欲求が原因のひとつです。

『話をする・話を聞く』というのは、承認欲求を満たす基本的な関りのひとつです。つまり、『話を聞いてくれる自分を認めてくれる』 という意識に繋がります。世の中には、話を聞いてもらいたい人が圧倒的に多いのはこのためなのですね。

私達人間は、本能的に、『話を聞くより話を聞いてもらいたい生き物』なのです。

1-2. 関心外の話には、耳を傾けない

人は話を聞くときに、無意識のうちに ”関心がある事” と ”関心が無いこと” を識別して、関心がある事には注意を払い、関心が無い事は聞き流す本能があります。

人は、無意識の中で膨大な情報処理をしているので、これら情報を効率的に判断するためにも、本能的に自分にとっての価値判断をしています。だから、関心の無い事について「話を聞く」という行為は、なかなか難しいものです。

一例ですが、大好きな人の話はしっかりと聴くけど、校長先生の挨拶は聞き流すと思います。日常会話では、それでも支障はありませんが、心理カウンセラーは「話を聴く」ことが全ての基盤となります。

話を聴くという行為は、『相手に関心を向ける』 ということが基本なのです。

 

【2】
傾聴とは? – “聞く” と “聴く” は何が違う?

「聞く」と「聴く」は何が違うか?という点について、一般的な意味や使い方は以下のようにされています。

類語国語辞典
  • 聞く・・・音や声を耳に感じ認める。
  • 聴く・・・聞こえるものの内容を理解しようと思って進んでよく聞く。
新聞協会の新聞用語集
  • 聞く・・・一般用語。うわさを聞く、聞き捨て、聞き流す、話し声を聞く。
  • 聴く・・・特殊用語。身を入れて聞く。きく態度によって使い分ける。どちらでも良いときには「聞く」を使う。

「聞く」 と 「聴く」では、聞き方の態度が違い、漠然と”聞く”場合と、注意して理解しようとして”聴く”場合があるということですね。心理カウンセリングに於けるの『傾聴』は、もちろん注意深く「聴く態度」が求められますが、カウンセラーはクライエントの何を聴き、理解しようとすると思いますか?

2-1. ビジネスコミュニケーションでは”何を言ったか?”が大切だが・・・

仕事では注意深く”話を聴きます”が、会話・言葉の意味や事実を理解しようと努力するのではないでしょうか?相手が何を言ったのか?・・・これを理解しようとする事が重要です。

仕事では、「引き受けます」と言えば、相手が迷いながら渋々言おうが、自信たっぷりに言おうが関係なく「引き受けます」がお互いの約束になります。ビジネスコミュンケーションでは社内・企業間問わず、

  1. どの様な立場の人が
  2. 何を言ったか

が重要で、どのよう発言をしたかはさほど重要ではありません。

2-2. 心理カウンセリングでは”どのように言ったか?”が大切!

ビジネスシーンとは反対に、心理カウンセリングでは、相談者がどのように言ったか?が大変重要です。

カウンセリングにおけるコミュニケーションは、言語的な意味の他に、声の調子や表情・仕草などの非言語的なコミュンケーションを相談者の表現として重視します。

言葉は意識的なものですが、非言語的な表出は無意識的に現われるものも多く、相手の心情や状況の理解を助けてくれます。

言葉では「大丈夫です」と言っていても、表情や声から、全然大丈夫じゃないのが判るということはありますね。

心理カウンセリングに於ける『傾聴』とは、相談者の話・表現全てに心を傾けて聴いて、相談者の気持ちをありのままに受け止めることです。

 

【3】
傾聴の目的

心理カウンセリングでは、相談者の話すこと、その表現すべてがカウンセリングの資源であり基盤です。だから、心理カウンセラーは、全身全霊を傾けて相談者の言葉や表現をありのままに捉えようとします。

心理カウンセリングでの傾聴の目的は、以下の2つが挙げられます。

3-1. 傾聴の目的① – 相談者(クライエント)との信頼関係を築くこと

カウンセリングは”相談者と心理カウンセラーの協同作業で一緒に問題解決を目指す”のですから、信頼関係を築くことが前提となります。信頼関係を築くためには、まず相手をありのままに受容れることが必要であり、その第一歩が傾聴です。

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ひたすら相談者の言葉や表現に心を傾けて聴くことが、相談者の安心と信頼のもとになるのです。

そもそも、信頼できない人に悩みを打ち明けたりする事はしませんよね?相談者が率直な気持ちを表現するには、まず信頼関係がある事が前提なのです。

3-2. 傾聴の目的② – 相談者を理解すること

もうひとつの傾聴の目的は、相手を理解しようと努めることです。

相談者が心理カウンセラーに対して言葉で語るのは、ごく一部でしかありません。相談者のひとつひとつの言葉の背後には、多くの想いや迷いがあるのが普通です。

つまり、相談者は言葉にできず表現できない事も多いのです。だから、表情や仕草や沈黙なども観察しながら、相談者の苦しい想いを受け止めることが大切になってきます。

言葉の背後にある相談者の心を理解しようと努めるのが傾聴の目的でもあるのです。

 

【4】
傾聴の効果

それでは、話を聴くだけで一体何の役に立つのか?どんな効果があるのか?と思う方もいるのではないでしょうか?傾聴にはどのような効果があるのか見て行きましょう。

4-1. 傾聴の効果① – 安心感

本記事の【1】の章で、人には承認欲求があると述べました。(記事冒頭の『人は話を聞くよりも ”話を聞いてもらいたい生き物”』を参照してください)心の問題で悩む人は、何らかの形で「自分が受け容れられていない」と感じている人が多いのです。

自分で自分を受容れられない人、自分の何かが周囲に受容れられずに悩む人など、問題の場所はいろいろですが、悩む人は何かしら不安や満たされない想いを持っています。不安な時は何よりも安心感を得る事が重要です。

心理カウンセラーの傾聴によって、ありのままの気持ち”を受け止められると、相談者の心に安心感が生まれます。この安心感が傾聴の効果のひとつです。

4-2. 傾聴の効果② – 囚われに気付かせる

2つ目の傾聴の効果として、『心理カウンセラーと話すことによって、相談者が自分自身の気持ちや考えを見直したり、整理することができる』ということがあります。

相談者も思い込みに囚われていること(≒固定観念)もありますので、気持ちの重荷を外に出すことによって心がスッキリして、自分の囚われに気付くこともあります。人は本来、自ら立ち直る力を持っているとするのが心理カウンセリングの考え方です。傾聴はその力を引き出すための一歩となるのです。

 

【5】
傾聴力のまとめ

  • 傾聴とは・・・言葉だけでなく相手が表出する全てのことに心を傾けて聴くことです。
  • カウンセリングにおける傾聴の目的は・・・信頼関係を築くことと、相手を理解しようと努めることです。
  • 傾聴の効果は・・・自分が受容されていると感ずる安心感が得られることと、気持ちを見直し整理できることです。

「話を聞く」というのは何でもない様なことですが、日常生活においても相手の話をしっかり聴く、というのは私達が思う以上にさまざまな効果をもたらしています。カウンセリング業に就かなくとも、傾聴力を高める事は、あなたの人生を豊かにする一歩となる事は間違いありません。

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