【恋愛心理学】ダブルバインドで意中の相手を惹き付ける心理学的方法とは?

ウィリアム・シェイクスピアの喜劇『ウィンザーの陽気な女房たち』に、こんなフレーズが出てきます。

“Love like a shadow flies when substance love prusues.”
(恋は影のように、追い求めるほどに逃げてゆく)

恋愛とはままならず、しかも矛盾に満ちたものです。ワクワクする半面ドキドキし、時にそれが心情的な負担となってしまうこともあるでしょう。

しかしながら、それこそが恋愛の楽しさであり、醍醐味でもあります。

熱愛がひたすら続き、何の問題も生じずに過ごせるのであれば、恋愛というものがこれほど戯曲や小説などのテーマとして扱われることもなかったはずです。

恋愛というのは黙っていても成就するものではありません。だからこそ駆け引きが必要となります。

そこで今回は、敢えて相手にちょっとしたストレスを加えることで気を惹くという心理的な高等テクニック 『ダブルバインドについてみていきましょう。

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ダブルバインドとは?

「ダブルバインド(Double bind)」とは、日本語で「二重拘束」と訳されます。その意味は、 『与えられたメッセージとメタ・メッセージとの間の矛盾によって、対象者が拘束されたコミュニケーション状態に陥ること』 です。

メタ・メッセージとは?:社会学用語。発言された言葉の意味が、本来意図する意味と異なって伝わるメッセージのこと(後述)。

ダブルバインド・セオリーとは、1956年にアメリカの文化人類学、精神医学の研究者であるグレゴリー・ベイトソン(Gregory Bateson)が、家族間コミュニケーションと統合失調症との関係性に絡んで提唱した説です。

これは、家族間でダブルバインドの状態におかれると統合失調症類似の症状を示すようになると指摘したものでした。

異なるレベルで矛盾するメッセージに晒されると、人は混乱し、どのように振る舞ってよいかがわからなくなります。

呼ばれたから近寄ったらいきなり引っ叩かれ、近寄らなかったら今度は叱られた、などという体験をすると、次からは呼ばれても近づいていいものかどうかわからなくなりますよね。

この混乱状態こそがバインド、つまり拘束状態だといえます。

恋愛におけるダブルバインドの事例

彼氏/彼女のその言葉、ほんとうに鵜吞みにしていいの?

たとえば、恋人同士では愛が囁かれます。言葉は想いを伝えるためにも、ムードを高めるためにも大切な役割を果たすものです。しかし、時に発された言葉をそのまま受け取るだけではダメな場合があります。

たとえば、このようなシチュエーションを考えてみましょう。

恋人と二人で歩いていて、素敵な異性を発見。すると相手がこんなことを言ってきました。

「あのコ、カワイイよね」/「あいつ、カッコイイよな」

ここで「うん、そうだね」と頷いたら、なぜか彼女/彼氏は不機嫌そうな感じに……。

別に反対したわけでもないのに、いったいどうしたのでしょうか?

パートナーの言葉の後ろ、”本音”をつかみ取ろう!

実はこうした場合、相手はむしろ自分の言葉を否定してほしがっています。

恋愛というのは互いに相手を一番好きであり、相手からも一番好きであってほしいと願う状態です。そのため他の異性を褒めてみせつつも、内心では相手からの

  • 「いや、そんなことないよ」
  • 「キミのほうがカワイイ/カッコイイよ」

という返答を求めているというわけです。

言葉と内心とが食い違っているケースとしては、他にも次のようなセリフが考えられます。

  • 「わたしってブスだから……」
  • 「おれってバカだからさ……」

恋人がこのようなことを言ってきたとき、「うん、確かにブスだね」とか「バカだよね、わかる~」とか返してしまっては、破局の危機に直面してしまうことでしょう。

相手の真意 “メタ・メッセージ” を読み取ろう!

このように、発された言葉の意味と真意とが異なっている場合、真意とされるほうをメタ・メッセージ(meta-message)といいます。メタというのは、「~を含んだ」「高次元の~」というような意味です。

言葉通りに受け取ると、相手は自分をブスだとかバカだとか卑下しているように考えられますが、メタ・メッセージを読み解けば、それらを恋人から否定してほしがっているのだとわかるのですね。

相手の真意を読み解くというのは、なにも恋愛関係のみに限らず、友人関係においてもビジネス関係においても大事なことです。コミュニケーションの基本の一つといってもいいでしょう。

このメタ・メッセージを使いこなすことで、恋愛の駆け引きを有利に進めることが可能となります。

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ダブルバインドを活用して恋愛を有利に進める方法

ダブルバインドの理論は恋愛との相性がバツグン!

ダブルバインドの理論(二重の拘束)だけをみると、あまり良くないもののように思えます。ダブルバインド自体が、もともと精神的な病気の発症メカニズムに関する理論なのですから、そのように感じられるのも無理はありません。

ただ、このダブルバインドという概念は有用だったため、心理学を始めとするいくつかの分野で応用されるようになりました。特に恋愛は、本質的に矛盾をはらむところがあるものなので、ダブルバインドの概念とは相性がよいと考えられます。

たとえば、恋人には幸せになってほしいはずなのに意地悪なことを言ってしまったり、付き合って満たされているはずなのに付き合う前よりも不安になりやすくなったり、といった矛盾は経験のある方も多いのではないでしょうか。

ダブルバインドは相手にストレスを与えるがそれこそが恋愛に有効!

ダブルバインドは、仕掛けられた相手を矛盾状態におくため、ストレスが生じます。ところが、恋愛の持つ矛盾する性質により、そのストレスこそが恋愛を愉しむための味付けとなることもあるのです。

「俺が事業に失敗したら、とっとと見捨てて別の男と幸せになってくれ」

こうした言葉が発された場合、この男性は言葉通り「とっとと見捨てて」くれることを本心から願っているのでしょうか?むしろ、たとえ事業に失敗して一文無しになったとしても見捨てないでいてくれることをこそ望んでいると思われます。

ただ、直接「見捨てないでくれ」と言ってしまうといかにもダサく見えてしまう。未練たらたらに受け取られてしまう。そういう思いが働き、メタレベルでは相反するメッセージとなって表れたのだと言えます。

このような矛盾自体はとりわけ意識しなくとも恋愛の場面には登場するものですが、意識的にダブルバインドを駆け引きとして用いようとする場合には、一工夫が必要です。

ダブルバインドを恋愛に利用する(実践編)

ダブルバインドのポイントは、異なるレベルのメッセージが矛盾していることにあります。そのため、2つのメッセージに矛盾が生じていないものについては、ダブルバインドには該当しません

たとえば、「お菓子を食べて」「この手作りクッキーを食べて」という2つのメッセージがあったとして、これは矛盾が存在しないため、ダブルバインドとはいえないことがわかります。

さらに、2つのメッセージが異なるレベルでない場合は、やはりダブルバインドには該当しません。

「この手作りクッキーを食べて」「この手作りクッキーを食べないで」という2つのメッセージは明らかに矛盾していますが、異なるレベルのメッセージではないため、ダブルバインドではありません。

この事例でのダブルバインド成功例とは、

  1. 「この手作りクッキー、失敗したから食べないで」というメッセージを発する
  2. 発信者の本心(メタ・メッセージ)としては、「手作りクッキーを食べてほしい」
  3. メッセージ通りに手作りクッキーを食べないでいると、「食べてくれないんだ……」
  4. メタ・メッセージに従って食べようとすると、「食べないでって言ったでしょ」
  5. 手作りクッキーを放置しようとすると、「クッキー焼いてきたんだけど?」

という状況に陥ることです。

メッセージを受け取った者がどのように行動しようと矛盾からは逃げ出せないため「どうすればいいんだ!?」となるわけですね。

クッキーは食べても食べなくてもOK

上記での事例は、手作りクッキーを食べようが食べまいがダメだというパターンであり、こういった否定的なものをベイトソン・ダブルバインドと称します。

それに対し、精神科医であるミルトン・エリクソンの唱えた治療目的でのダブルバインド(エリクソン・ダブルバインド)では、どちらを選ぼうとも肯定的な反応がなされます。

「この手作りクッキー、ちょっと失敗しちゃったから食べないで」というメッセージに対して、食べたら「気を遣って失敗作を食べてくれてありがとう」、食べなかったら「気を遣って失敗作を食べないでいてくれてありがとう」と返します。

どちらを選んでも「気を遣ってくれた」という結果となるので、相手としては何も問題はないように思えますが、メッセージに対してどう行動するかという判断には直面するため、心情を汲み取る努力が求められるのです。

H3:ダブルバインドの使い過ぎには注意が必要!

結論的な話ですが、ダブルバインドを恋愛に応用するというのは、相手を試すことであり、振り回すことです。

男でも女でも、多少わがままなほうが魅力的に感じられるということはあるものですよね。相手に要求するというのは、それだけ相手を信頼しているからともいえるためです。

ただ、それをいいことにダブルバインドを頻繁に仕掛けてしまうと、相手に余計な負荷をかけることとなってしまいます。ちょっとばかりわがままなのは愛嬌のうちですが、限度を超えると恋が冷める原因となるので注意が必要です。

言っていることと本心とは異なる、というのは素直になれない場合などにはよくあることですが、深く理解し合っている恋人同士だとしてもエスパーではないのですから、「気持ちをわかってほしい」というのはほどほどにしておくといいでしょう。

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ダブルバインドのまとめ

恋愛は、全てが心地よいだけのものではありません。

時には行き違いからケンカをすることもあるでしょうし、気持ちが伝わらなくて悲しい思いをすることもあるでしょう。ただ、そういったトラブルやストレスも含めて幸せな思い出となるのが、恋愛のいいところでもあります。

メタ・メッセージやダブルバインドを駆使して、恋人同士の関係性に少しばかりの彩りを添えてみるのも一興かも知れませんね。