心理カウンセラー・精神科医・心理療法士…いったい何が違うの?

心理カウンセラーも、精神科医も、心理療法士も、心の問題に関る専門家です。似ているようでもありますが、何がどう違うのでしょう?意外と抜けがちで、「知らないと恥ずかしい」的な知識なので、それぞれの位置付けや違いを知っておきましょう。

1. 心理カウンセラーと精神科医はどこが違う?

心理カウンセラーも精神科医も心の問題を抱えた人の相談に乗ります。でも、精神科医の方がちょっと偉そうに感じますよね。そのように感じられる理由は、精神科医は医師の国家資格が必要で、心理カウンセラーは国家資格ではないという事が挙げられるのかもしれません(※)。

(※)2015年に心理職国家資格として「公認心理師法」が可決され、2017年度施行の見込みです。詳しくは、下記URLをご参照ください。➡ 公認心理師推進ネットワーク http://www.ccppn.net/

精神科医とは?

精神科医は医療行為をします。医療行為は生命に関るために、身体全体の事を把握していなければなりません。

精神科医になるためには、医学部に進学して6年間、精神科だけでなく全ての科目について勉強し、医師の国家試験をパスして、2年間の研修医を経験しなければなりません。精神医学も医学ですから、科学的に分析して病気を治療するのが目的です。薬物療法や、必要があれば外科的処置による治療もします。

精神科医は精神病理学の専門家ですが、カウンセリングの専門家というわけではありません。心理カウンセリングに詳しい精神科医もいらっしゃいますが、精神科医の中では少数派のようです。

精神科医と心理カウンセラーの違い

精神科医は患者を診断して、必要があれば投薬や検査などの医療行為が出来ます。医療行為をするかどうかが精神科医と心理カウンセラーの決定的な違いです。

心理カウンセラーは、相談者の話をじっくり聴いて、相談者が自ら解決への道を見つけられるように支援します。病気であるかどうかは問題ではなく、相談者の心の悩みの相談に乗ります。

ただ、心理カウンセラーは治療行為をする事ができません。つまり、お薬を処方したり、検査を行ったりすることは出来ないわけです。ですから、カウンセラーの力で対応できないと判断した場合は、病院などを紹介する義務があります。

一方、精神科医は病気を治療するのが仕事です。ですから、まず病気であるかどうかの診断が前提です。治療は検査や投薬によることが主で、カウンセリング的な方法は必ずしも精神科医の仕事ではないのです。もちろん、カウンセリングを治療に取り入れている精神科医もいらっしゃいます。精神科医とカウンセラーが連携して、患者の問題解決をはかろうという考え方も増えてきています。

 

2. 心理療法

心理療法という言葉も、よく目にします。箱庭療法とか、ゲシュタルト療法とか聞いたことがあると思います。心理療法は、英語では、サイコセラピーと言います。ちなみに、心理療法と精神療法の内容は同じです。

心理療法とは ―― 心理学に基いて、心の悩みを解決に導くために考案された手法です。心理療法を行う人を、心理療法士とか、心理セラピストなどと呼びます。それぞれの学派によって、精神分析士とか、行動療法士などと呼ぶ場合もあります。カウンセリングも心理療法のひとつで、心理療法全体に大きな影響を与えている代表格です。心理療法も治療行為はできません。心理療法士も、国家資格はなく、学会や協会などの認定資格です。

心理カウンセリングは、「来談者中心療法」

一般に「心理カウンセリング」という時は「来談者中心療法」のことです。現在の心理療法の基本となっているので、わざわざ「来談者中心療法」とは言わず、カウンセリングと呼んでおり、来談者中心療法を行う人をカウンセラーと呼んでいます。

この治療法はアメリカのロジャーズという人が提唱した方法で、人間には自然な成長能力があるとして、徹底して相談者の話を聞くことにより、個人のパーソナリティの成長を心理療法の目的としました。つまり、相談者自身が解決への気付きを得るということです。その援助をするのがカウンセラーです。

その他の主な心理療法

「来談者中心療法」が中心ですが、他に様々な心理療法があります。主な心理療法には以下のものがあります。ここでは詳細は省きますが、興味のある方はワークショップなどに参加されると良いでしょう。

パブロフ

行動療法 ―― 現在は、認知行動療法に統合されている

フロイト

精神分析療法、精神分析的遊戯療法

ユング

箱庭療法

アドラー

家族療法

吉本伊信

内観療法

F.S.パールズ

ゲシュタルト療法

エリック・バーン

交流分析
これらの心理療法はそれぞれに特色があり、他の心理療法を勉強することは、カウンセラーとしての幅を広げます。基本を学んだ上で、勉強してみるのも良いでしょう。

 

3. まとめ

心理カウンセラー・精神科医・心理療法士 ―― どれも、心の問題を扱う専門家ですが、それらの違いがお分かりいただけたでしょうか?

心の問題は、本人も気付かない内に静かに忍び寄ることが多いものです。その精神的ストレスを放っておくと、様々な変調を来たします。そうなる前に、心が重い、苦しいと思った時の最初の入口が心理カウンセラーでしょう。

カウンセリングでは、全てを受け容れ、話を聞くことが中心です。相談者の状況によって必要があれば、精神科や他の心理療法を紹介することができます。現在は、心の悩みも非常に複雑化していて、カウンセリングだけでは対応できない問題も増えていることも事実です。ですから、精神科医や他の心理療法士などと連携して、相談者にとってよりよい解決を考えていくことが大切でしょう。