認知心理学とは?どんな特徴を持っている学問なの?

20世紀初頭のドイツで提起された ゲシュタルト心理学 から生まれた認知心理学は、人間の認知がどのような仕組みで成り立っているのかを研究する学問です。

認知心理学とはどんな特徴がある学問なのか、またゲシュタルト心理学についてもご紹介していきます。

 

1.認知心理学ってどんな学問なの?

認知心理学とはその名の通り認知に関する心理学ですから、そもそもこの 認知や心理学の意味について把握しておく必要 があります。心理学とは心を科学する学問ですから、研究対象となるのは心や脳の働きという目には見えないものになります。

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この目では確認できない心や脳の働きを、目で見える行動、つまり観察や実験などを通じて研究していくのが心理学です。

目で見える行動から目では見えない心や脳の働きを解明してくのが心理学であり、認知心理学では、心や脳の働きの中でも認知に焦点を当てて研究をする学問 です。

1-2. 『認知』とはどのような意味があるのでしょうか?

認知は認識(ある事柄をはっきりと認めること)と解釈されることもありますが、心理学に於ける 『認知』 とは 情報を集めるための知的活動 のことを指します。ですから、人は普段の生活の中で自然に物事を認識したり理解したり、思考したりして情報を集めていますが、それらは全て認知に当たります。

例えば、

  • 注意
  • 記憶
  • 意識
  • 思考
  • 推論
  • 問題解決

なども認知という扱いになり、この人間の認知がどのような仕組みになっているのかを追及するのが認知心理学です。

認知により新しく得た情報は脳内にある情報を元にして判断されて、そこから行動を起こしたり新しい記憶として蓄積されることになります。

つまり、認知心理学は “人間は認知によってどのように思考して、どのように行動するのかを研究していく学問” になります。

1-3. 認知心理学の実験例

認知心理学の代表的な実験にミュラー・リアー錯視(さくし)があります。

錯視とは俗に目の錯覚とも呼ばれるもので、脳が自動的に対象物を変化させて認知してしまうという興味深い現象のことです。

ミュラー・リアー錯視とは?

2本の同じ長さの線がありこの2本線の両端にそれぞれ外側と内側と向きの異なる矢印を付け加えることで、同じ長さであるはずの2本線が違う長さに見えるというものです。

例えば、 上図のAとBの青線はどちらも同じ長さ になるのですが、両端に向きの異なる2本線が付くだけで、脳が勝手に錯覚を起こし2本線の長さが全く違って見えるようになるのです。

外側に矢印を付け加えた方の線が、内側に矢印を付け加えた線よりもかなり長く見えてしまうのですが、これが脳の錯覚によって起こる認知の変化です。

2.ゲシュタルト心理学について

認知心理学・知覚心理学・社会心理学の元になっているのがゲシュタルト心理学です。

ゲシュタルトとはドイツ語で知覚現象や認知活動について説明をする概念の一つで、全体性を持つまとまりのある構造のことを指します。

ゲシュタルト心理学では、人の思考や精神は部分や要素の寄せ集めではなく、まず全体があると考えます。部分ではなくて全体性やその構造に重点を置き、個々の部分は全体によって現れると考えます。

ドイツの心理学者のヴィルヘルム・ヴントが提唱する要素主義や構成主義の心理学に反論する形で20世紀初頭に現れたのがゲシュタルト心理学で、心や脳の働きを研究するというもともとの心理学に近い学問であると言えます。

人の精神や思考は部分を寄せ集めたものではなく、まず全体があり、個々の部分は全体によって現れると考えるのがゲシュタルト心理学の特徴です。

例えば1万円札もよく眺めてみると、小さな点が集まって絵や数字、文字を構成しているのが分かるでしょう。

小さな一つ一つの点には何の意味もありませんが、私たち人間はこの点の集まりを認識し、これが1万円札であると理解しています。

これは視覚が自動的に小さな無数にある点を合体させて、まとまりのある絵や数字、文字として見せてくれているからで、これも全体性を唱えるゲシュタルト心理学の性質があります。

音楽もゲシュタルト心理学の性質があると言えます。

ピアノの演奏を聴くとき一つ一つバラバラの音符として認識されることはなく、全体的なひとつのメロディとして自動的に認識されます。

また、楽曲の調を移行して演奏する移調では、音の要素構成が変わるものの同じメロディとして聴こえるのもゲシュタルト心理学の性質によるものです。

2-1.ゲシュタルト崩壊とは

全体性のまとまりのことをゲシュタルトと呼びますが、これが崩壊してしまう現象のことをゲシュタルト崩壊と呼びます。

例えば傷という漢字を何十個も並べそれを長く見続けていると、傷ってこんな形だったっけ?などと感じ始める現象のことです。

文字でも図形でもそれを見れば何であるのかがすぐに判断できるのに、それを持続的に注視し続けていると全体的な形態の印象や認知が徐々に低下していきます。

そうなると漢字の一部分だけが気になってきたり文字が図形のように見えたりと、本来の文字や図形が認識できなくなるのですが、このような知覚症状のことをゲシュタルト崩壊と言います。

はじめは傷ってこんな文字だっけ?という感覚になり、次第に正しい漢字が分からなくなっていきます。

さらに注視していると部分的な認識しかできなくなり、文字が図形のように見えたりして文字として理解できなくなるという現象が起こるのです。

少なからずこのような経験をしたことがある人もいるでしょう。

もともと失認症の症例として報告されたのですが、研究が進み健康な人にでも起こる現象であることが確認されました。

ゲシュタルト崩壊を起こしやすい文字というのがあり、傷のほかに多や他、今や粉などでこれらの文字を注視したり何回も書き続けると認識に変化が起こるはずです。

 

3.認知心理学と行動心理学との違い

認知心理学を学ぶとき、行動心理学との違いがよく分からないという人も多いようです。

認識により行動が変わると考えるのが認知心理学で行動により認識が変わると考えるのが行動心理学ですが、両者には大きな違いがあります。

脳の情報処理から人の認知活動を研究するのが認知心理学で、人の知覚や思考、理解、学習などが研究対象となるので脳科学や言語学、情報科学などとも深い関わりがあります。

人はさまざまな認知をし、それらの認知が経験となり脳に新しい記憶として蓄積されそれが物事の判断材料となり行動に移されることになります。

認知の仕組みやそれによってどのような現象が引き起こされるのかを研究するのが”認知心理学”ですが、”行動心理学”では行動主義の観点から心理学にアプローチします。

行動を観察し科学的に分析することで心理を解明しようとするのが行動心理学で、その基本にあるのは行動主義の考え方になります。

認知心理学がもともとの心理学に近い学問なのに対して、行動心理学は目に見えるものだけを研究するのが心理学の使命であるとするプラグマティズムの影響を大きく受けた心理学です。

プラグマティズムは実用主義や実際主義とも訳されるアメリカで誕生した哲学で、認識や概念をそれによって起こされる客観的な結果によって科学的に明らかにしていこうとします。

 

4.ビジネスや日常生活で役立つ認知心理学

認知心理学はマーケティングなどのビジネスや日常生活でも役立てることができます。マーケティングなどで役立つ認知心理学の一例です。

  • アンカリング効果
  • カリギュラ効果
  • 準拠集団

アンカリング効果

アンカリング効果とは、最初に印象に強く残った数字がその後の判断に影響を及ぼすというものです。

例えば8万円もする外国製の高機能掃除機が、数量限定・特別価格の3万円引きの5万円になっていたとしましょう。

この時人は無意識のうちに掃除機8万円というのが強く印象に残るので、そこにスペックの良さや操作性の良さを紹介されると5万円という値段が安いという感覚になるのです。

カリギュラ効果

カリギュラ効果とは禁止されるほどにそれをやりたくなるという心理で、具体的には雑誌の袋とじ企画やクイズ番組の答えはコマーシャルの後で、という例が挙げられます。

準拠集団

準拠集団は人に対して大きな影響を与えるグループのことで、クチコミやSNSなどを利用したマーケティングではこの準拠集団の心理学がとても重要になってきます。

例えば30代サラリーマンを対象に高級スーツを売ろうと思えば、同世代のビジネスマンやOLからのクチコミが効果的で、さらに少し年上の成功しているビジネスマンのクチコミも有効であると考えられます。

準拠集団を利用したマーケティングでは、洋服やバッグ、時計など職場などの他人に見られる場面で使う物を売るときにより効果を発揮してくれます。

認知心理学に関するまとめ

この記事のまとめ

認知心理学は心や脳の働きの中でも、認知について解明していく心理学です。無意識のうちに脳で認識される情報により私たちの行動が変化してくるという、とても興味深い学問と言えます。

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