臨床心理学とは何なの?精神的な助けとなるのか解説

心理カウンセラーを目指すなら学んでおきたい心理学の一つに臨床心理学があります。

ストレスの多い現代社会では精神的な病気を抱える人もたくさんいますが、臨床心理学はそんな精神面での健康をテーマとした心理学になります。

 

1.臨床心理学って何?

精神の健康維持や精神疾患からの回復をテーマとした心理学の一つで、同じく精神の健康を目的とする精神医学と深い関わりがあります。

臨床心理学という言葉は臨床と心理学に分けることができますが、心理学とは心や精神を研究対象とする学問で人の心と行動を科学的な手法に/よって研究していきます。

つまり心の理論を研究する学問が心理学です。

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臨床の方は床に臨むと書きますが、この床とは心が病んでいる人や大きな悩みを抱えて心や身体が疲れている人のことを指します。

つまり、 臨床心理学とは悩み疲れた人や心の病気になってしまった人をサポートするための学問 です。

臨床心理学の専門家である 公的な心理カウンセラー資格である臨床心理士 は、カウンセリングを通じて心が疲れた人を支え助けていくのがお仕事です。

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仕事のストレスから職場の人間関係のストレス、学校や家庭でのストレスなどさまざまな心の悩みを抱える人がいます。

心の悩みは誰もが抱えるものですが、 その大きさは人によっても違いますしその時々でも違う でしょう。または、その人の性格などによっても悩みの大きさは違ってきます。

自分ひとりで解決できる悩みもあれば周囲の友達や家族からの励ましで解決できる悩みもありますし、時間が解決してくれる悩みもあります。

生きていれば時間の経過で解決できる悩みもあれば、周囲のサポートだけではクリアできない問題に直面することもあるでしょう。

そうなると心の苦しみもどんどん大きくなり、うつ病などの精神疾患を患う人も出てきます。

そんな 心の問題に悩む人達を手助けてしてくれるのが臨床心理学 で、さまざまな心の問題を解決するためのサポートをしてくれます。

うつ病などの精神疾患を患う人はもちろん精神的な問題はないものの何かしらの心の悩みを抱える人をケアしたり、心の健康を保つために臨床心理学が役立てられています。

どんな人でも生きていく上で、何かしらの問題や悩みを抱えているものです。

周囲のサポートも受けながらその問題を解決していきますが、臨床心理学はよりスムーズに問題解決ができるようサポートしていきます。

心の問題解決の方法やサポートの方法を、観察や調査などを通じて研究していくのが臨床心理学です。

1-1. 臨床心理学の歴史

臨床心理学は、1896年にアメリカの心理学者であるウィトマーによって初めて使われた言葉だと言われています。

臨床心理学(Clinical psychology)の祖と知られるL.ウィトマー(Lightner Witmer,1867-1956)は、精神薄弱ではないが学業・行動に逸脱を示す子供に注目し、1896年にアメリカ初となる心理クリニック(Psychology Clinic)を開設して、こうした子どもへ臨床的対応を行った。ペンシルベニア大学の助教授であった彼は、公立学校教員、医師、家庭等からの相談に基づき、多岐にわたる検査を用いた継続的な診断をふまえて、子どもの持つ個別的なニーズへの対応を試みた。

【PDF資料】L.ウィトマーの学業不振・非行問題への認識と臨床的対応 より引用

当時ペンシルベニア大学で学習障害者や精神障害児などの治療をするための心理クリニックを創設したのですが、その際に臨床心理学という言葉が初めて使われたのです。

ウィトマーはドイツの心理学者であるヴントの研究室での学んでおり、臨床心理学は精神医学に影響されながら少しずつ今のように学問として体系化されていきます。

臨床心理学には精神測定学と力動心理学という2つの源流があります。

精神測定学の根本的な考え方には人の心は測定できるというのがあり、 ヴィルヘルム・ヴント による意識はいくつかの心的要素で構成されているという考え方が源流となっています。

この精神測定学の考え方から心理テストや測定器具が開発され、その後に知能検査などの心理アセスメントへと発展しさらに知能検査積み木などの道具も開発されていきます。

力動心理学は、心的現象の原因を心の中に求めるという考え方が根本にあります。

フロイトの精神分析学が中心となり精神分析療法が生まれ、心的現象への影響や因果関係を解明しようとします。この精神分析療法はその後、心理療法などに発展していきます。

1-2. 20世紀に発展した3大心理療法

20世紀前半になるとスイスの精神科医で心理学者であるユングにより分析心理学が提唱され、フロイトの弟子であったオーストラリアの精神科医で心理学者のアドラーにより個人心理学が提唱されます。

ユングの分析心理学やアドラーの個人心理学は、その後の臨床心理学に大きな影響を与えていきます。

またユングアドラーの考え方は、それからアメリカの心理臨床家たちに大いに活用され発展していきます。

20世紀のアメリカで3大心理療法が発展していくのですがその3大心理療法とはこちらです。

  • 行動療法
  • 精神分析
  • 来談者中心療法

アメリカの心理学者である ジョン・ワトソン は、 ユング や アドラー のように人の心や意識に着目するのではなく人の行動に着目し、人の行動は何かしらの刺激に対しての反応から起こるという行動主義を唱えます。

行動主義とは客観的に観察できる人の行動から心を分析しようとするもので、人の意識はあくまでも主観的なものなので心理学では客観的に観察できる行動を研究するべきだと主張しています。

フロイト が提唱した精神分析も同時にアメリカで発展していきます。

精神分析は意識だけでなく無意識も重視して、さまざまな動機の起源を幼児期の体験と考えて分析していきます。

来談者中心療法を提唱したのはアメリカの臨床心理学者の ロジャース です。

これは来談者の潜在能力を信頼して自分で問題を解決するのを手助けしようとするもので、一人ひとり個性が違うので定式化した精神分析では問題は解決できないと主張しています。

またロジャースは指示態度を取る行動療法でも効果がないとも主張し、あくまでも来談者自らが自分で解決するための力を引き出すための来談者中心療法を唱え、同時に治療者の人間性を重視しています。

その後も臨床心理学は発展し、個人の抱える心の問題の原因が家庭や家族の関係などにあるとして、家庭の関係を改善することで個人の悩みや問題を解決しようとする家族療法なども生まれていきます。

 

2.精神医学と臨床心理学の違いについて

同じように人の心の病気を扱う職業に精神科や心療内科のお医者さんがいますが、精神科のお医者さんは精神医学の専門家になるのでアプローチの仕方に少し違いがあります。

医学は科学をベースとした、さまざまな病気を診断して治療、予防する方法を開発する学問で、この医学の考え方には原因と結果が重視されています。

お医者さんは患者さんの症状に基づいた診断をして、それに従った治療を行っています。

このように原因と結果という考え方が根本にあるのが医学ですが、心理学で扱う人の心は必ずしも原因と結果が同じになることはありません。

条件や環境が同じでも人によって違う結果が現れるということもたくさんあります。

例えば同じ条件や環境下で同じ体験をしても、ある人はその体験に感動することもあれば、違う人だと全く関心を示さないということもあるでしょう。

このように心の問題は原因と結果が同じにはならないので、特定の原因のみを追究しても必ずしも悩みが解決されないということになります。

ですから臨床心理学では、一人ひとりの話をじっくり聴くことが大切だとされています。

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臨床心理学の専門家である臨床心理士は、カウンセリングで悩みを抱える人の話しをじっくり聴くことが基本です。

基礎的な心理学も応用しながら問題解決に向けてのさまざまな可能性を考え、来談者をサポートしていきます。

臨床心理学ではこのようにカウンセリングや心理療法で来談者の話しをじっくり深く聴くことで心の問題をケアしていきます。

もちろん精神科医も同じようにカウンセリングが基本となりますが、精神医学では症状を聞いて病名を診断し、処方薬などの医学的な対処を行う点が臨床心理学との大きな違いになります。

 

3.臨床心理学で学べること

臨床心理学でどのようなことが学べるのかまとめてみます。

  • 悩みを抱える人の心の支えになれる
  • 人の心について深く知ることができる
  • 自分について深く理解できる

臨床心理学を学ぶことで、悩み抱える人に対してより深い部分からのサポートができるようになります。

さまざまな障害を持つ人の心が理解できたり、多くの人の心はどのような働きがあるのかまたは自分の心についても深く知ることができます。

心を深く研究したい人や、自分についてもっと深く知りたいという人にも臨床心理学はとても興味深い学問です。

 

4.まとめ

臨床心理学は人の悩みを解決したり、健康な心が保てるようサポートするための学問です。

精神医学とも深い関わりがありますが、より人の話しを深く聴くことを重視して心の悩みをケアしていくのが臨床心理学です。