行動心理と学習理論:心理カウンセリングを学ぶ

心理学を学んで行くと、随所で「行動心理(学)」や「行動主義」、また「行動療法」という用語を目にすることが多いことと思います。特に最近では「認知行動療法」などが広く知られるようになり、実際の心理臨床の場や、様々な社会生活のシーンでその役割が大きく期待されています。

それでは、心理学におけるこれらの「行動」とは、そもそもいったい何を意味しているのでしょうか?

まずは心理学で使用される「行動」ということばの歴史や基盤となっている理論、またその意味を知らなければ、これらの「行動心理」自体を理解することが難しくなって来ます。

ここでは、行動心理における「行動」という言葉の解説を中心に、行動心理の概要 をご説明して行きます。

 

– 1 –
「行動心理学」 という分野は本当にあるの?

1-1. インターネットで多く情報のある「行動心理学」の実際

今、実際にインターネットで「行動心理学」ということばを検索してみますと、検索結果に表示されるのは、どちらかと言えば「ノウハウ」や「雑学的」な情報が多くなっています。例えば「仕事」や「恋愛」や「人付き合い」などで、相手の心理を動かすテクニックのようなものですね。

もちろん、これらの情報がすべて正しくないとは言えません。きちんとある理論に基づいた心理的な影響効果を使用していますので「雑学」としては、有効だと思われます。

それでは、これらの情報は本当に「行動心理学」と言えるのでしょうか?

1-2. 学問での行動心理とは何でしょうか?

実は厳密に言いますと、行動心理学という分野は、単一で確立されている訳ではありません。後から詳しく説明しますが、あくまでも心理学における「行動主義」という包括的な理論に過ぎません。つまり、さまざまな「行動」に関する理論があり、それをトータルして「心理的行動主義」や「行動主義心理」と表現している のです。

もしかしたら、この記事を読まれる方の中で、先に書きましたような雑学的なテクニックを知りたい方はがっかりされるかも知れません。ですが、公認心理師臨床心理士 といった、より学問的な 心理カウンセラーの資格 を取る場合に、もしこの分野が試験問題に出るとすれば、上記のような”雑学的な知識”が試験問題に出ることはまず無いと思ってください。

以下より解説内容は、より学問的な心理アプローチでの「行動心理」を学ばれる方や、心理カウンセラーを目指す方に取っての、基礎知識になる事 と思っています。

 

– 2 –
『心理的行動主義』の歴史と基礎になる理論とは

2-1. 心理的行動主義とは?

心理学と言えば、アメリカが常に時代の先進を行っているのは、皆さんも良くご存知かと思います。

1800年代頃までは、主観的に考える「哲学的」な心理学の理論が主流となっていました。そんな中、1890年代になり、アメリカや欧州を中心に、より科学的な方法で心理学の理論を構築しようとする動きが始まりました。

つまり、あたまの中で考えて理論を立てるだけではなく、実験や、人が取る行動を外から観察することにより、科学的に実証しようとした動きが「行動主義」の始まり です。

人やどうぶつは、ある刺激に対して反応をし、それが結果としてなんらかの行動につながります。これらを、実験や「客観的」な観察を通して理論とすることが、より科学的であり、実証的であるという考え方です。

これは、難しそうですが、例えばこのようにイメージしてみて下さい。

自分が頭の中で考え出したことがあるとします。そして、その内容やことばに矛盾がなく、整合性が取れており、つじつまが合っていたとします。ですが、実際にそれを再現出来なければ「理論」としては成立しません。これが「主観」の限界でもあります。

ではもし、その論理を実際に、実験を通したり、「客観的」に他者の行動に当てはめた結果、整合性が取れていたりするとします。そこで初めて、自分の考えは正しい「理論」として成立するのです。

このようなシンプルなことが、心理学に於いて大きな転換期を与えたと言っても過言ではありません。またこれらの「行動主義」も、もちろんもっと様々な「理論」に細分化されており、今もなお、研究が続けられています。

それでは次に、これらの「行動主義」の基礎となった学習理論について、簡単にご説明して行きます。

2-2. 行動療法とその基礎になっている学習理論

20世紀前半に、先述した「行動主義」を台頭に心理学的アプローチが展開して行きます。そして、その流れから「行動療法」というものが発展して行きました。それでは「行動療法」とはどのようなものなのでしょうか?

人やどうぶつは、ある刺激に対して反応をし、それが結果としてなんらかの行動につながると先述しました。「行動療法」とはことばの通り、その「行動」に照準をあて、「行動」に様々な修正を与えてながら問題を解決して行こうという試み です。

もう既に「学習理論」を勉強された方にはおなじみかと思いますが、ここで簡単に 「行動療法」の基礎となる学習理論 を交えながら、「行動療法」のご説明を分かりやすくして行きます。

行動療法とは?

学習理論では、「刺激に対しての反応」という方式が主になっています。例えば、人は何かの刺激に反応して結果として「行動」を起こします。

もしかしたら、この刺激にあたるものは、その人に取って悪影響を及ぼしているものかも知れません。すると当然、その悪い刺激を受けている人は、適切でない反応を起こし、誰かにとって好ましくない「行動」へ出てしまうこともあります。

この「行動」はたった一度で終わる場合もあるでしょうし、習慣化されてしまうことも多々あります。そうなると、さらにその習慣化された「行動」への、なんらかの治療が必要になって来るのです。これが「行動療法」です。

このように、「行動療法」とは、まず結果として現れる「行動」に適切な修正を与えるものですが、その基礎には、刺激(stimulus)から反応(response)の学習理論があり、繰り返しになりますがその結果に表れた「行動」(behavior)に照準をあてたものとなります。

2-3. 学習理論で有名な人物など

ここでは、上記でご説明しました「行動療法」の基礎となる「学習理論」で有名な人物やその理論を簡単にご紹介しておきます。これらの詳しくはまた、別の記事で解説して行きます。

ワトソン,J.B.(1878-1958)

1913年に彼が著した「行動主義の見地から見た心理学」が、一連の「行動主義」のきっかけとなります。

関連リンクジョン・ワトソンについてWikipediaで見る

パブロフ,I.P.(1849-1936)

ロシアの生物学者であった彼の、イヌと食事を使った一連の実験は「パブロフの犬」としても有名です。この実験は、食事という刺激に対する、イヌの生物学的反応としての「古典的条件づけ」という学習理論になります。

関連リンクイワン・パブロフについてWikipediaで見る

スキナー,B.F.(1904-1990)

アメリカの行動主義心理学者であり、モルモットに「報酬」として餌を与え、それに対する「学習」を観察するという一連の実験で有名です。「オペラント条件づけ」という学習理論になり、彼の発明した実験道具である「スキナー箱(ボックス)」はとても有名です。

関連リンクバラス・スキナーについてWikipediaで見る

実は、「行動療法」は、上記の「古典的条件づけ」と「オペラント条件づけ」の学習理論の2つが大きな基礎となっていまので、ぜひ覚えて下さいね。

 

– 3 –
行動心理 のまとめ

現在においては、「行動心理学」ということばのみが一人歩きしてしまい、適切な情報が少ないようです。

ですが、本当の「行動心理」ということばには、この記事で簡単に概要として紹介したような、きちんとした歴史や意味があります。これから、問題を抱えている方々への介入や、実際にカウンセリングに臨まれる場合、また試験を受ける場合などに、これらの基礎知識は必要になって来ます。

ぜひ今回の、「行動心理」に関する記事を読んで下さったことをきっかけに、さらに興味を持っていただき、学習を深めてもらえると嬉しいと思います。

 

 icon-arrow-down 心理カウンセラーの民間資格に挑戦してみませんか?icon-arrow-down

 

icon-arrow-circle-o-right TOPへ 資格を取得して心理カウンセラーになるには?