【カウンセリング技法】心理カウンセリングから学ぶ『聞き上手になるための傾聴スキル』

『コミュニケーション=話し上手』 というイメージがありますが、実は聞き上手の方がはるかにコミュニケーションは上手く行きます。

話を聴いてくれるということは、自分を受容れてくれるということになります。つまり、自分を肯定してくれる相手に対しては、安心感や好感を持つというのが人の心理です。これは仕事や恋愛など、日常の人間関係に多くのメリットをもたらします。

心理カウンセリング用語では、これを”受容”と言い、「あなたを受容れていますよ」 ということを表現するためのカウンセリング技法として”傾聴スキル”を用います。こういった技法は、心理カウンセリングだけに活かされるのではなく、日常の仕事や恋愛、人間関係にも役立ちます。

ここでは、聞き上手・話させ上手になるための傾聴スキルを紹介しますので、心理カウンセラーを目指す方だけでなく、日々のコミュニケーションの改善に役立てて頂けたらと思います。

 

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聞き上手はコミュニケーション上手!話しが下手でもデメリットではない?

よく、「人とのコミュニケーションが苦手で・・・」という方を見受けます。「自分は話し下手だから、コミュニケーションが苦手で避けてしまう」というのが大きな理由のようですが、確かに、コミュニケーションとは言葉のキャッチボールではありますが、それだけではありません。

実は、言葉のキャッチボール以前に、コミュニケーションには大切なポイントがあります。

それは、人の話をしっかりと聞けることです。人は話を聞くより、話を聞いてもらいたい生き物ですから、話をしっかりと聞く方が相手に好感を持たれます。つまり、話し下手はコミュニケーション下手ではなく、逆にじっくり人の話を聴ける聞き上手になれる可能性が高いといえます。

聞き上手な人は人間関係もスムーズにいっている傾向が高いですが、聞き上手になるメリットはそれだけでなく、①相手を観察できて 情報が得られ自分の考えも整理しやすく なります。

聞き上手になるための3つのポイント

聞き上手になるためには、”良く聞くためのスキルを身につける”以前に『傾聴』の基本姿勢がポイントになります。聞き上手になるための基本的な3つのポイントを抑えておきましょう。

① 相手の話を真剣に聴く

日常生活では忙しくて、今は聴く時間がないということもあるでしょう。きちんと話を聴けない時は、20分だけとか後にするなどはっきり言うほうが良いです。時間を気にしながら上の空で話を聴くなら、聴かない方がマシです。

② 途中で話をさえぎらずに最後まで聴く

途中で何か疑問に思っても、口を挟まないことです。気になったことはメモしておくと良いです。

③ 相手の話に否定や批判・意見をしない

相手の考えと違うことがあっても「そういう考えもありますね」と認めてから、「こういう考えはいかがですか?」と聞くようにします。

 

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聞き上手になるための5つの傾聴スキル

ただ、黙って話を遮らずに相手の話を聞いていたとしても、聞き上手とは言えません。相手が気持ちよく話せることが聞き上手であって、言葉を変えると、話させ上手とも言えます。話させ上手になると、好感度は勿論、仕事でも欲しい情報を相手から得られやすくなります。

聞き上手、話させ上手になるためには、適切なリアクションが大切です。自分が話す立場を想像するとわかりやすいですね。5つの傾聴スキルを紹介しますので、全部できなくても、自分に取り入れやすい方法を試してみると良いでしょう。

2-1. 傾聴スキル① 『非言語の相槌(あいづち)』

うなずく・微笑む・身を乗り出す・手を打つ・などがありますね。非言語の相槌は、相手の話を遮らずに共感を表すことができるので、大変有効な方法です。同じ「うなずく」でも、深くゆっくりうなずく場合と、軽くうなずく場合では意味合いやニュアンスが違ってきます。これらの非言語の相槌だけでも、積極的にリアクションすると効果が大変違います。

 

2-2. 傾聴スキル② 『相手のペースに合わせる』

話すスピードや声の大きさ・調子、息遣いなどを、相手のペースと合わせます。相手が興奮して話しているのに、こちらのテンションが低いと、相手のテンションが下がってしまいますね。意図的に相手の興奮を鎮めたい場合には、そういうやり方も有効です。相手とのペースを合わせることで、「自分の感情が共有されている」 と親近感をもたらします。

 

2-3. 傾聴スキル③ 『相槌』

「なるほど」、「そうなんだ」、「そうですねぇ」、「あー、はい」、「へぇ」、「うんうん」など、相手の話の合間に相槌を入れます。

適切な相槌をすることで、「自分の話を判ってもらえているんだ」 という安心感を与えることが出来ますので、相手が話をしやすくなります。相手の話の内容や気持ちを理解しないと、不相応な相槌になり逆効果になってしまいますので注意が必要です。

また、同じ相槌を繰り返していると、いい加減に聞いているんじゃないかと思われるので、相槌に変化をつけると効果的です。相槌は簡単なようで、良くも悪くもさまざまなニュアンスが表れる奥が深い傾聴スキルです。

 

2-4. 傾聴スキル④ 『おうむ返し』

相手が言った言葉の一部を繰り返す方法です。相手の言葉を繰り返すことで、

  • 「話をしっかり聞いているよ」
  • 「話したことに共感しますよ」

ということを示し、相手に安心感を与えます。相手の言葉の一部を繰り返すだけなので、簡単に相手と波長を合わせることができる方法です。例を挙げて説明していきます。

 icon-comment-o おうむ返しの例

相手
明日、会議で報告しないといけないんだけど、いい報告じゃないんだよね。気が重いなぁ
あなた
それは、気が重いよね
相手
でも、事実だから、ちゃんと報告しないとね
あなた
うん、報告だからね!

おうむ返しは相手の言葉をそのまま繰り返すので、相手の気持ちをハズレなく捉えることができます。それによって、相手は共感を得ていることを実感できて、話がしやすくなります。ただ、おうむ返しの言い方や繰り返す言葉の選び方を間違えると、逆効果になることもあります。

例えば、

相手
明日、会議で報告しないといけないんだけど、いい報告じゃないんだよね、気が重いなぁ
あなた
そっか、いい報告じゃないんだ~

 

と返したらどうでしょう?相手は、ますます気が重くなって話す気が失せてしまいますよね。おうむ返しのポイントは、相手の気持ちを捉えて繰り返すことです。

 

2-5. 傾聴スキル⑤ 言い換え(パラフレーズ)

おうむ返しの上級スキルとして、言い換えという方法があります。「自分の話を理解してくれているな」という安心感が強くなります。言い換えは、相手の言葉を単に繰り返すだけでなく、適切に言い換えることです。それによって相手も自分も、内容がより具体的になったり、微妙な部分を確認できます。例を挙げて説明していきます。

 icon-comment-o 言い換えの例

相手
彼と、旅行先のことでケンカしてしまって、、、
あなた
そう、行きたい旅行先の意見が合わなかったの?
相手
行きたい場所というか、旅行先で何をやるか?ってことかな。でもほらカヌーやるなら川のある所だし、星見るならやっぱり高原でしょ。
あなた
なるほど、川と高原ね~。昼間は川でカヌーやって、夜は高原で星を見てなんてステキね。
相手
でも私、カヌーは1回しか経験がないし、あまり気が進まなくて。
あなた
へぇ、カヌーやったことがあるんだ?彼に教えてもらったの?
相手
うん、彼はカヌー大好きだから、教え方も上手なの。
あなた
そう、教え上手がついているなら安心じゃない。私はやったことがないけど、カヌーって楽しい?
相手
川から見る風景って違うから、それなりに楽しいわね

  解説

Bさんは、「行きたい旅行先の意見が合わなかったの?」と言い換えることで、内容を具体化させていますね。また「カヌーは1回しか経験がない」という否定的な言葉を、「へぇ、カヌーやったことがあるんだ?」という肯定的な言葉で言い換えています。

Bさんは、どちらに賛成しているわけでもなく、相手の言葉に適切に相槌を打ったり、言い換えたりして、Bさんの話を引き出しています。このように、相手の言葉を言い換えることによって、話が具体的になり進展します。

 

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まとめ

「相手の話をしっかり聴く」ことは、相手に安心感をもたらし、コミュニケーションをスムーズにします。相手の話を聴き、話を引き出すのが聞き上手といえますが、その方法として傾聴スキルが効果的です。

傾聴の3つの基本ポイントと、5つの傾聴スキルは、日常生活の会話でも使える方法です。仕事や日常生活で少し意識して使ってみると、コミュニケーションがスムーズに行くでしょう。