【心理学】ウィンザー効果で信頼をゲット!? – 貴方の言葉…信じられますか?





「言葉」が創造されたと共に、人間は「虚偽」をも生み出しました。

これによって、嘘がつけるようになったのです。

一方では、嘘で無用なトラブルを避ける役割も果たしましたが、他方で人と人との間で不信を生じさせる結果となりました。

嘘がつけるということは、相手の言うことが本当だとは限らないということを意味します。そして、人間には利害というものがあります。

そのため、言葉によって真実が歪められることがあるようになったのです。

ただ、それだけに

  • 相手へ何かをきちんと伝えたいという気持ち
  • 自分の言うことを信じてもらいたいという思い

も出てきます。

そこで今回は、伝えたいことを受け取ってもらうための心理テクニック 『ウィンザー効果』 についてみていきましょう。

<1> ウィンザー効果とは?

1-1. ウィンザー効果とは?

ウィンザー効果とは、何かを相手から直接言われるよりも第三者から間接的に伝えられたほうが、信憑性や信頼性が増す、という心理的効果をいいます。

アーリーン・ロマノネスによる自伝的スパイ小説、『伯爵夫人はスパイ』(原題:“The spy went dancing”)に登場するウィンザー伯爵夫人のセリフ、

「第三者の褒め言葉は、どんなときでも一番効き目があるのよ。忘れないでね。いつかきっと役に立つわ。」

に因んだものといわれており、性質として似通ったものに、口コミ効果があります。

ただし、元となったセリフでは褒め言葉とされていますが、ウィンザー効果自体は褒め言葉に限らず、悪口や批判についても当てはまることに留意しておきましょう。

1-2. お客様の声

ウィンザー効果の実例としては、ネット通販サイトに掲載されているレビューや、「お客様の声」などが挙げられます。

こういうお褒めの言葉、こういうご意見をいただきました、という形で企業が公表しないのは、あくまでも自分自身ではなく第三者である「お客様」の発した言葉であるという事実を示したいからだと考えられます。

では、どうして本人ではなく第三者からの間接的な言葉のほうが信頼できる、と感じられるのでしょうか。

1-3. 自己言及と利害関係

不思議なことですが、人間は自分の言うことや考えることは正しい、と心のどこかで思っているフシがあります。

自己正当化というのもその一つで、自分は正しく相手が誤っていると思い込み、攻撃するという行動パターンもしばしば見受けられますね。

それなのに、他人による他人自身の言動については、「本人についての発言なのだから、嘘が混じっているに違いない」として信用しない。

この疑いが成り立つなら、自分が自分自身のことについて誰かへ話すときも、嘘が混ざっていて正しくない、と思っておかしくないのですが……自己言及への不信が自分には及ばないというのも、奇妙なことです。

第三者からの言葉のほうが信用できるというのは、主に利害関係の有無に絡みます。

たとえば自社製品を広告する場合、その広告には良い点を強調し、悪い点を軽微なもののように表しているのではないか、といった疑いが掛かるでしょう。

自社製品が良いもので買ってください、という宣伝広告なのだから、特長を強調するのは当たり前だと考えられるためです。

逆に、その製品と利害関係の一切ない人が「この品物は良い」と褒めていたとしたら、その賞賛には信憑性が生まれます。

何か得があるわけでもないのに褒めているということは、その人が心から嘘偽りなく良いと思ったからこそだ、と思われるのですね。

<2> ウィンザー効果と口コミ効果

2-1. マーケティングと口コミ

ウィンザー効果の一つとして、口コミ効果があります。

マーケティングの分野では、いかにして人々の需要を開拓していくかという点が大きな問題となっており、購買意欲や購買の契機となる要素が研究されているのです。

第三者からの言葉に信憑性をおく、というウィンザー効果を、ビジネスにおける口コミに限定して考えるのが口コミ効果です。

売主側が直接に商品を売ろうとしても、限界があります。広告を打って人々に商品の存在を周知させるところまではいっても、買ってもらえるかどうかは別だからです。

そこで企業が着目したのが口コミです。

利害関係のない一顧客が褒めているのなら信用できる、というわけですね。

これが実際に成り立つのかどうかが研究対象とされました。

2-2. 口コミ効果の実験

口コミ効果の実験としては、1970年代にジョン・グッドマンの行った「口コミの波及効果」調査があります。これはコカ・コーラ本社の行った調査の結果であり、苦情処理の結果として、回答に満足がいった者は4-5名へ、回答に不満な者は9-10名へ口コミを行うということが示されました。

つまり、対応に満足している顧客よりも、対応に不満足な顧客のほうが口コミ数は倍近くにまで増加し、影響を及ぼすと考えられるのですね。

同様の実験は様々な企業が行っており、いずれも好意的な口コミよりは非好意的な口コミのほうが多くの人へと伝わっていく傾向にあると示されています。

2-3. 口コミやレビューの注意点

こうした口コミやレビューについて気をつけておきたいのは、「商品の販売について利害関係のない顧客からの意見・感想だから信頼できる」のと、「信頼できるように思える」のとは明確に異なる、という点です。

まず、顧客の口コミやレビューが本当に利害関係のないものかが問題となります。

今ではウィンザー効果や口コミ効果を企業側が逆手に取り、対価を支払って口コミやレビューを書いてもらうというマーケティング手法もあります。

これは、明らかに虚偽の感想を書けという依頼ではないため、不正とまではいえません。

ですが、ウィンザー効果や口コミ効果の前提となる、「利害関係のない第三者だからこその信頼性」というものは完全に崩壊します。

特に、対価を受け取って感想を書く場合、対象商品・サービスを悪く述べる人はあまりいませんし、仮に批判的な意見を述べたとしても、企業側がそれを採用しないという手もあります。

次に、利害関係がないからこそ無責任になる、という問題もあります。

対価をもらわず、利害関係がなければないほどあらゆる行いが誠実かつ正確になるなら、誰も仕事に給料を支払おうとはしなくなるはずです。

その人なりの信念を対価とするボランティアのような場合を除けば、対価を受け取っていないことで、気軽に不正確な情報を言ったり書いたりできるという面もあるのですね。

さらに、口コミやレビューは数が少なければあまり参考にならないという問題があります。

レビューサイトの評価で☆1の商品やサービスであっても、たまたまそれが気に食わなかった、トラブルがあった一人の顧客だけが最低評価をつけており、他の顧客はサイレントマジョリティとして満足していた、という可能性もあるのです。

上述したように、不満のほうが口コミとして出やすい、というのであれば、なおさら注意が必要でしょう。

このように、心理的にそう思えるのと、実際にそうであるのとは違いますので、冷静な判断が求められます。

<3> 言葉の信頼性とウィンザー効果

3-1. 間接的に言葉を伝える

ウィンザー効果を活用して、自分が伝えたいことを相手に伝えるのであれば、第三者を通して間接的に伝えるといいでしょう。

「私は優秀です」ではなく、

「○○さんは優秀だと思うよ」と他の人に伝えてもらうのです。

しかし、もちろんですが

「○○さんが、自分のことを優秀だと君に伝えるよう頼んできてね」などということになっては却って評価もガタ落ちですから、仕掛け方にも慎重さが必要となります。

また、

「○○さんが貴方のこと好きらしいよ」などと第三者を通じて吹き込んだところで、最終的には自分の口から思いを伝えるなりしなければならないので、恋愛にもウィンザー効果を活用するのは難しい部分があります。

3-2. 自衛への活用

結局、ウィンザー効果を仕掛けとして用いるのには困難さと限界が付きまといます。

他人の口を借りて自分を持ち上げようというのは、いわゆる「ステルスマーケティング」のようなもので、あまり好ましいことではありません。

TVや本などでは、外国の人々が日本を絶賛している、というような内容のものもしばしば見受けられるようになりましたが、これも番組制作者や著者が言わせているように受け取られ、みっともないのではという向きもあるのですね。

そうすると、ウィンザー効果はむしろ、冗談で気軽に叩いた誰かへの陰口が本人に届いてしまって信じられてしまった、というような不注意によるトラブルを避けるための自衛手段として意識しておくのがいいのではないでしょうか。

3-3. 言葉は心から

伝え方も大事ですが、もっとも大切なのは、自分の思ったことや感じたことを率直に伝えようとすること。

長い目で見れば、そちらのほうが相手からの信頼は得られるのです。

無理に第三者を通さなくても、正しければきちんと伝わると信じましょう。

 

<4> ウィンザー効果のまとめ

ウィンザー効果は、自分で活用するという能動面だけではなく、自分が本人以外からの言を必要以上に信じてしまっていないかどうか、という受動面にも気をつけるべきものです。

今の世の中は、何が本当なのかがわかりにくくなっています。

そんなときだからこそ、言葉によって伝えるということを大切にしたいものですね。

 

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